マリブのブログ

ミネルヴァの梟は迫り来る黄昏に飛び立つ

『ウォーキングデッド』シーズン9第12話の私的な感想―ベータの危惧―(ネタバレあり)

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The Walking Dead Season9 Episode12/2019~(アメリカ)
脚本:ラトヤ・モーガン
出演:ノーマン・リーダス、ダナイ・グリラ、ライアン・ハースト、サマンサ・モートン、ジェフリー・ディーン・モーガン

 ウィスパラーズの謎

いよいよウィスパラーズの実態が描かれていきそうです。

前回のエピソードで、エゼキエル達が踏み込んでしまった映画館に残されていたマークは、果たして彼らの領域を示すものなのか・・?

 

赤字で描かれていたπを逆にしたようなそのマークは、どうやらクインカンクスと呼ばれる占星術に用いられるアスペクトの一つのようです。

 

占いやウォーカーとの共存等、原始社会に立ち戻ったかのようなウィスパラーズのグループは、自由主義を重んじている様で、細かい約束事も垣間見える不思議な集団。

リディアを取り戻しに行く際に、泣きわめく赤子を連れて行っていた点から見ても、ニーガン率いる救世主達の様に、強固な統率がとれたグループとは言えなさそうです。

 

太古の世界の人間達の社会は、本当にウィスパラーズの様にやさぐれた人々だったのでしょうか?

せめてニーガンのように、人間をリソースとして貴重に扱っていれば、その仲間意識や絆から団結力も強くなっていっただろうに。。

 

・・ハッ・・・

 

いつの間にか製作側の思惑そのまんまに、ニーガンをもう赦しちゃっている自分がいます。。

・・日本人って本当に、過去を忘れ流されやすい・・・

 

ちなみに何かの漫画から教わりましたが、生まれたばかりの人間の赤ちゃんは身の安全が完全に保障されている状況でない限り、本能的に大声を上げて泣かないんだとか・・

 

シーズン9第11話の感想はコチラ


以下、
『ウォーキングデッド』シーズン9第12話のネタバレを含んだ上での感想です。

まだご覧になってない方はご注意下さい。

 

 

 

 

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 変化のとき

森の中を歩くウィスパラーズのグループ。
ルールを破って助け出された事で、リディアはアルファから強く非難を浴びている。
そんなリディアの真意に探りを入れながら、ダリル達のコミュニティーの情報を得ようとするアルファ。
彼女はリディアの言葉に僅かな嘘を感じながらも、それを恐怖で支配しようとする。

 

ウィスパラーズの脅威にさらされたアレキサンドリアでは、ミショーン達が議論を重ねている。
無線機で外部との接触を図ろうとしていたゲイブリエルを責めるミショーン。
僅かな可能性でも、他の共同体との共存を推し進めようとするゲイブリエルに対し、ミショーンはその危険性を説き始める。
その意見に賛成を示すのはジーザスを失ったアーロンのみで、セディクは物資の不足が深刻化しているキングダムを例に挙げ、遂にアレキサンドリアの今後の方針を決める評議会を再度行う事を決定する。

無力な街の委員長である事に気づかされ、打ちひしがれているゲイブリエル。
ロジータはそんな彼を気遣い、セディクとの子を身籠っている自分との将来を彼の判断のみに委ねようとする。。

 

ウィスパラーズの居場所を見つけ出したヘンリーは、その見張りの一人をなぎ倒すも、大柄のウィスパラーズの男ベータによって捕まってしまう。
やがてアルファの元へと連れてこられた彼は、リディアを取り戻しに来た事を暴露してしまうが、そんなヘンリーをナディアは目一杯の力を込めて殴り倒す

 

独自の評価基準表まで持ち出し、ゲイブリエルとロジータの中を取り持とうとするユージーン。
彼は自分のロジータへの感情を吐露しながらも、困惑したままのゲイブリエルを必死に説得しようとする。

 

ウィスパラーズの拠点へと連れて行かれるヘンリー。
そこには数百を超す彼らの仲間が原始的なスタイルのまま身を寄せ合って暮らしていた。
アルファはリディアにヘンリーの存在の探りを入れるも、その不自然な彼女の様子を敏感に察知している。

 

独房に戻ってきていたニーガンを尋問をし始めるミショーン。
しかし逆にニーガンは窓辺から聴こえた彼女達の会議の様子を語り、ミショーンの保守的な見解に危惧の念を抱いている事を打ち明ける。
やがて孤立していく彼女に対し、自分のアドバイスを取り入れる様促すニーガンに、ミショーンはその苛立ちを隠し切れなくなり・・
そんな彼女がふと窓辺に目を向けると、そこには二人の会話に聞き耳をそば立てているジュディスの姿が写る。

 

ウォーカーの顔の皮を剥いでいるベータ。
アルファがヘンリーにその自分たちの生き様を説いていると、独りの男がやってきて彼女に判断に異論を唱え始める。
しかし人を見抜く力はアルファの方が数段上手。
その裏に赤子を失くした女の指金がある事に気づき、彼女は躊躇なくその女の首を切断。
そしてその生首を男に受け取らせると、怯えながら命乞いをし始める彼をも、アルファは一突きで刺し殺す。

 

リックとの子供RJの寝顔を見詰めているミショーン。
するとそこにニーガンに興味を覚えているジュディスがやってきて、ミショーンは幼い彼女にの判断に忠告を伝える。
しかし、頑なにニーガンの人権をミショーンに訴えるジュディス。
彼女はそんなジュディスの強い意思に、やがて戸惑いを覚え始め・・

 

ベータにウォーカーマスクを脱がしてもらっているアルファ。
彼女はふと弱かった自分がリディアに背を向けた過去の事を語り始める。。
グループに忍び寄る危険を察知し、アルファに警笛を鳴らすベータ。

 

セディクとロジータの待つ家へとやってくるゲイブリエル。
3人は微妙な空気の中でも、身籠った子供の将来を相談し合おうとしている。
そんな彼らの様子を優しく見守っているユージーン。

 

アーロンの元を訪れたミショーンは、彼が自分の意見に賛成してくれた事に対し礼を述べつつも、評議会が外部との交流を求める場合には、自分はそれを否定しない事を告げる。

 

・・夜中にベータに叩き起こされたヘンリーは、そのままリディアの元へ。
そこで彼女はアルファによってヘンリーを殺害するように命じられるも、立ち竦んでしまう。
そんな折に、やってくるウォーカーの群れ。
逃げ惑うウィスパラーズに紛れ、ダリルはヘンリーの手を取り彼を連れ帰ろうとするが・・
ヘンリーはリディアの事も置いていこうとはしない。
やがてダリルの制止も振り切り、彼はリディアの手も取り4人で森の中へと逃げ出してゆくが・・・

 

 

 

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 ・・久しぶりにバランスの取れたいいエピソードだった気がします。

ヘンリー救出作戦にタイミングよくやってくるダリル達なんかは、もうお約束なのであえてツッコみませんが、それでもウィスパラーズの実態がふんわりと伝わってきました。

 

彼らの概念の根本にあるのは、徹底した個人主義を突き詰めたような社会組織。

アルファというちょっと変わった名前も、どうやら固有名詞ではなく、彼らの象徴を意味する称号の様です。

 

そこでちょっと気になるのが、、

アルファに甚く忠実な腹心ベータの存在

体罰や恐怖をもって人々を支配するアルファの倒錯具合からみても、彼にも同じような歪みがあるのかと思いきや・・

その冷静な態度や、鋭い勘、更には彼の事を心底信用しているアルファの目線からみても、どうもこの二人の関係性は情緒的。

とすると、動物的な本能に従っているかのように見えて、彼らには随分人間らしい厭世観が漂っている風に感じてしまったのは自分だけでしょうか・・?

 

・・多分コレ、、

体罰の実態をちゃんと理解している脚本家が書いているのでしょう。

子供のしつけに手を上げてしまう親は、大抵が自分に強い劣等感と罪悪感を抱いてます。

そんな親の心境を子供はすかさずキャッチし、それを自分への愛情とすり替える事で自我を形成していくので、子供は無心にその言う事を聴いてしまう。。

 

つまり、この手の環境で育った子は、幸か不幸か人のココロに人一倍敏感なんです。。

 

なので彼らに育て上げられた少女リディアが、ヘンリーの恥ずかしくなるほどの真っ直ぐな感情に簡単に揺さぶられてしまうのも、なんだか納得。

こうして巣立ってゆく子供の成長と、その行方に待ち構える嘘の世界の実態に案じ続ける親の心境なんかに見えてきてしまうと、ちょっとアルファの気持ちも理解できちゃうかも。。

 

どうやらリック亡き後の6年間の過去エピは、尺の足りないマギーの回想シーンを用いるのではなく、それぞれのキャラクターの台詞で代弁させて補うつもりの様ですが、リックの最期で爆破された橋の影響から、どうもキングダムだけが他のコミュニティーからアイソレイトされてしまっているようですね。。

 

という事は、、

エゼキエル達だけが、ウィスパラーズの脅威を未だに知らずにいるというコトで・・

 

ジュディスもジュディスで、また、もう・・・

すっかりニーガンにココロを開いちゃっているようですが、それもそのはず。。

彼女は狂気のニーガンを知らない数少ないアレクサンドリアの住民であると共に、ミショーンを始めとしたオトナ達が子供としてしか接してくれなかったジュディスにとって、唯一自分の話を真っ直ぐに聴いてくれた相手ですから。。

もう個人的には、マギーもあっさり退場したので、ニーガンを心底憎み続けているであろうロジータさえ許せば、彼、さっさと開放しちゃっていいんじゃないでしょうか?

 

鋭い直感と戦闘力を兼ねそろえるアルファとベータを前にしたら、やっぱり人に対する淡い期待感を捨てきれないダリルだけじゃ、どうにも不利に見えてきてしまうので。。

 

今回はそんなベータとアルファの屈折した親心と、ミショーンの危惧する我が子への思いとが対比され、それを受け止める側のリディア、ジュディスそれぞれの親離れの様子とが上手くリンクされていました。

 

そして、何と言っても今回の裏の主役は・・

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こんな男前の顔を披露してくるユージーンに、思わず笑ってしまいそうになってゴメンナサイ・・

彼、6年後の世界からすっかり精悍な感じがしてきている上に、振り向いてもらえない女の為に妊婦用の服まで用意してくれちゃっているので、もういい加減、ロジータ少しはユージーンに振り向いてやってくれよ。。。

原作ではそんな彼女を含めた3人の古参キャラに死亡フラグが立っているので、今からそれに直面した時の彼の姿を想像しちゃうと、かなり胸が苦しくなります。

 

ん・・?

 

この悲恋の物語を回避する為に必要な犠牲者は、やっぱり卒業が決定しちゃってる彼女

www.youtube.com

どうやら次のエピソードでは、いよいよダリルVSベータの直接対決が観れる模様。

・・てゆーか、そろそろマグナ、なんかしようぜ。。。。

シーズン9第13話の感想はコチラ

www.mariblog.jp

 

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