マリブのブログ

ミネルヴァの梟は迫り来る黄昏に飛び立つ

夏におススメ

映画『ラストレター』の私的な感想―未咲と鏡史郎はなぜ別れたのか?―(ネタバレあり)

Last Letter/2020(日本)/121分 /答辞に込められた思い / 久しぶりに観た岩井俊二の新作は、正直かなりヤバかった。 それは、夢を見続けていた十代の頃に憧れた、紗のかかった映像がすっかり薄くなり、俳優達の止めどない直球の台詞が、劇中に溢れてる…

映画『言の葉の庭』の私的な感想―雨の日に訪れる優しい時間―

The Garden of Words/2013(日本)/46分 /万葉集から生まれた日本の伝統文化 /雨の音や水の色、おまけに緑のグラデーションまですこぶる丁寧な画力に圧倒される。 日本のアニメもここまでくるともう、立派な芸術の一つと認めざるを得ない。 アラフォー世…

映画『そうして私たちはプールに金魚を、』の私的な感想―偶然にも最悪な少女―

And so we put goldfish in the pool./2017(日本)/27分 /少女達の衝動 /自虐ネタ映画には結構面白いものもある。 人のいい道産子や開放的なウチナンチュー、或いは、頑固でサバけた高知人や気位の高い京都人等、日本人の県民性には、その土地の歴史や…

映画『ラブ&ポップ』の私的な感想―トパーズに惹かれた女子高生の真夏の夜のユメ―

LOVE&POP/1998(日本)/112分 / 欠けた者達が集まる街 /失敗から学べることは結構いろいろある。 ことわざでは“怪我の功名”、英語では“comes out smelling like a rose”なんてオシャレな例え方もあるようだけど、思えば自分の人生でもこんな事は日常茶飯…

映画『海底47m』の私的な感想―禁断症状に陥った姉妹を襲うサメより怖いもの―

47 Meters Down/2017(イギリス)/90分 /減圧症と窒素酔いの恐怖 /ディープダイビングでは、1分間に18Mを越えないように浮上していかないといけないというルールがある。 これはダイビング経験者にとって生死を分けるポイントであり、麻痺や呼吸困難、場…

映画『きみの鳥はうたえる』の私的な感想― 屈託なく笑う石橋静可の笑顔―

きみの鳥はうたえる/2018(日本)/106分 / 屈託なく笑う彼女の笑顔 /こんなにも美しく笑う女優を初めて見たかもしれない。 ビートルズの「リボルバー」に収録されたジョン・レノン作のロック・ナンバーを邦題に起こしたこの作品には、終始その気怠くも心…

映画『リリイ・シュシュのすべて』の私的な感想―青春の瑕と夏の匂い―

All About Lily Chou-Chou/2001(日本) / 透明感のある青春の瑕 /『スワロウテイル』でそのセンシティブな世界観を描ききった岩井俊二が、原点回帰したとも言える映画がこの作品。 最近一部の若い世代の岩井俊二をリアルタイムで知らない人たちの間では…

映画『火垂るの墓』の私的な感想―33年目の真相。戦争が生み出した本物の煉獄―

Grave of the Fireflies/1988(日本) / 唯一無二の悲劇を伝える戦争アニメ /1945年(昭和20年)8月6日午前8時15分、広島に原爆が投下されました。 日本人にとっては忘れられない日。忘れてはいけない日。 自分たちの感覚の何処かに夏に切なさを感じるの…

映画『ロスト・バケーション』の私的な感想―復活した現代版『ジョーズ』―

The Shallows/2016(アメリカ) / 絶景の海とサメの恐怖とのコントラスト 夏×海×映画と言えば定番なのがサメ。 その中でもこの映画は『ジョーズ』からの恐怖と『オープンウォーター』からの孤独感をしっかり継承し、随分丁寧に練り上げられたシチュエーシ…

映画『青いパパイヤの香り』の私的な感想―ベトナム映画に観る釈迦の悟り―(ネタバレあり)

L'odeur de la papaye verte/1993(ベトナム/フランス) / アジア料理が好きになったきっかけの映画かもしれません。 使用人としてベトナムの裕福な音楽一家の下で働き始める無口なムイの手料理。 劇中では随分この料理をする描写が多いですが、それに比…

映画『深呼吸の必要』の私的な感想―ウチナンチュに受け継がれる魂―

深呼吸の必要/2004(日本) /究極の癒し、沖縄の精神 夏が近づくと思い出す映画です。 篠原哲雄監督の沖縄愛がたっぷり詰め込まれているこの作品は、自分にとって究極のヒーリング映画。 疲れた時に、ただ、何も考えずに感じるだけの作品です。

映画『打ち上げ花火、下から見るか?横から見るか?』の私的な比較―映画か?アニメか?―

打ち上げ花火、下から見るか?横から見るか?/1995(日本) /久々に新作アニメを見ました。 若い自分がずっと傾倒してきた岩井俊二映画のアニメ化作品なのでそれなりに期待して見てみたんですが・・ 正直、予想を遥かに上回る衝撃でした。 それは自分がう…

映画『腑抜けども、悲しみの愛を見せろ』の私的な感想―イタくて儚い生き様―

腑抜けども、悲しみの愛を見せろ/2007(日本) /映画『羊の木』が有名な吉田大八監督のデビュー作です。 初の長編デビュー作でもあったこの作品は、サトエリ自体にちょっと抵抗感のある自分にとっては劇場まで足を運ぶ勇気はありませんでしたが、このスト…

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