マリブのブログ

ミネルヴァの梟は迫り来る黄昏に飛び立つ

サスペンス

映画『AI崩壊』の私的な感想―人工知能は悩む人間に手を差し伸べられるのか?―

AI崩壊/2020(日本)/131分 /悪意のないSF映画 / 悪意のないSF映画を作るのは、結構大変だ。 和製『マイノリティ・リポート』との謗りも多かった割には、この映画は結構鋭く日本人の歪な感覚をついてくる。 AIの暴走なんてテーマは、ハリウッド映…

映画『フラクチャード』の私的な感想―砕かれた男の見る白昼夢―

Fractured/2019(アメリカ)/99分 /砕け散った男 思い込みの激しいオトコが、夜中にひっそり膝を抱え怯えて見るには十分の映画。 自分もその術中にまんまとハマり、気がつけば、ため息が漏れまくっていた。。 世界のホラー映画の巨匠13人なんかにちゃっか…

映画『楽園』の私的な感想―実話に基く日本の闇、現代に蘇る津山事件の真の恐怖―

Rakuen/2019(日本)/129分 /観念的に感じる恐怖 主観のない映画は胸に響かない。 それは傍観者の観客との距離感が、どうしても縮まってこないから。。 言い換えれば、ビジネス脳的な俯瞰で世界を見渡すと、世の中の危険性はだいぶ薄まるが、その分、相手…

映画『ギルティ』の私的な感想―邪悪な蛇を認めた心に宿るもの―(ネタバレあり)

Den skyldige/The Guilty/2018(デンマーク)/88分 /ワンシチュエーションスリラーで見せる人の業 /ワンシチュエーションスリラー映画としては久々の大傑作。 人の持つ善意の裏で蠢く業をくっきりと浮かび上がらせてくる。 『フォーンブース』等に代表…

映画『告白』の私的な感想―痛みを知らない子供達に伝える最後のホームルーム―

Confessions/2010(日本)/106分 /暴力のない世界 /暴力を受けた事のない子供が最近やけに増えている気がする。 アラフォー世代の世迷い言の様に聴こえるだろうが、ネット上の匿名で誹謗中傷が横行する現代では、自分達の頃とはあきらかにその性質が変化…

映画『ミスター・ガラス』の私的な感想―19年の時を経て完結するシャマラントリロジー―(ネタバレあり)

Glass/2018(アメリカ)/128分 /シャラマンの意思 /『アンブレイカブル』を世に送り出してから実に19年。。 リアルな時を経てその畢生の仕事を終えた監督M・ナイト・シャラマンの執念には、まず手放しで称賛したい。 けれども、相変わらずの難解なレトリ…

映画『search/サーチ』の私的な感想―SNSの世界に広がるヒトの闇と温度―

Searching/2018(アメリカ)/102分 /想像力を研ぎ澄ます新時代のサスペンスドラマ /この作品は映画館で観れて本当に正解だったと思う。 全編をPC画面上で完結させるという荒業をやってのけたこのサスペンスは、アラフォー世代の自分たちにとっては、コン…

映画『検察側の罪人』の私的な感想―キムタクの原点回帰と本当の罪人―(ネタバレあり)

検察側の罪人/2018(日本)/123分 /エポックメイキングなキムタクの熱演 /何とも言えない虚脱感に襲われた映画でした。 それが、映画自体の社会批判からなのか、監督の狂奔ぶりからなのか、製作側の悪意からなのか・・・ 時勢を反映した映画作りは『万引…

映画『ピエロがお前を嘲笑う』の私的な感想―4つの角砂糖で繋がっていたモノ―

Who Am I - Kein System ist sicher/2015(ドイツ) / ニューウェーブなサスペンス /トリッキーでスタイリッシュなドイツ生まれの極上サスペンスです。 邦題の語源は、劇中の天才ハッカー役の主人公ベンヤミンが仲間に付けたグループ名称“Clowns Laughing…

映画『レッド・スパロー』の私的な感想―最後の電話が物語る共産圏の女の実情―

Red Sparrow/2018(アメリカ) / ジェニファー・ローレンスの究極の俳優魂 ジェニファー・ローレンスってこんなに潔い芝居をする女優に成長してたんですね。 快活そうに見えてどこか幼気な雰囲気が魅力的だった彼女が、大人の女優として開花したその俳優魂…

映画『アイデンティティー』の私的な感想―振り止まない雨の日の夜の出来事―

Identity/2003(アメリカ) /多彩な俳優陣が集結したクローズドサークルミステリー 雨の日の夜に見るサスペンスと言えば、まず初めに思い浮かぶのがこの作品。 閉じ込められたモーテルで一晩中止まない激しい雨がとても印象的です。 叙述トリックが散りば…

映画『三度目の殺人』の私的な感想―からっぽの器が背負う十字架―(ネタバレあり)

The Third Murder/2017(日本) /余韻を咀嚼する珠玉のサスペンス 白昼夢を見ている様な感覚に陥る映画です。 『万引き家族』で行政の歪を描いた是枝監督がこの作品で暴いたのは司法の闇。

映画『メメント』の私的な感想―記憶のない男の記録―

Memento/2000(アメリカ) /いつの間にかMARBEL系のブロックバスター映画監督になり果ててしまったクリストファー・ノーランですが、私的には彼はこの作品でその才能の全てを出し切ってしまったと思っていますw 彼の弟、ジョナサン・ノーランが書いた短編…

―オーストラリア発の人気海外ドラマー『ウェントワース女子刑務所』の紹介と私的な感想

Wentwoth/2013~(オーストラリア) /剥き出しになる女性たちの本能を描いた人間ドラマ 現実逃避傾向が強いので、どうしても非現実的な世界を描いた作品に興味が行ってしまいがちなんですが、この作品だけはちょっと別格です。 始めは『ゲームオブスローン…

映画『閉ざされた森』の私的な感想―トリッキーな口癖の男の正体―

Basic/2003(アメリカ) / 「ラスト5分の衝撃」に向かって全ての謎が繋がっていく・・もう10回以上は観たでしょうか、この作品は。。 最初、サスペンスなのかスリラーなのかよくわからず見てしまったんですが、正直かなりアタマが痛くなりました。。 見返…

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