マリブのブログ

ミネルヴァの梟は迫り来る黄昏に飛び立つ

宗教映画

映画『ミッドサマー』の私的な感想―禁忌の異色ホラー。フォークロアに閉じ込めた凶悪な恋心―(ネタバレあり)

Midsommar/2020(アメリカ/スウェーデン)/148分 /禁じ手のホラー映画 / 傍若無人に鬱憤を映画で晴らすアリ・アスター監督がまたやってくれた。 冒頭の意味深なタペストリーから、天地逆転のカメラアングル。 ・・彼の抱える闇は、まだまだ深そうだ。。

映画『嘆きのピエタ』の私的な感想―聖母マリアの憎しみから生まれるもの―

피에타/2012(韓国)/104分 /底辺で喘ぐ者 貧乏に理由なんてない。 冒頭からいきなりそんな事を言ってしまうと、なんだか身も蓋もないけど、この映画を見る時は、それぐらいの心構えが必要。 。 日韓関係が露骨に悪化する中で、今更こんな映画に手を出す…

映画『ホテル・ムンバイ』の私的な感想―神無き街を救う神―

Hotel Mumbai/2019(オーストラリア/インド/アメリカ)/123分 /アラブとインド人の違い なんだか『バイオハザード』の様な、サブタイを勝手に付けてみたけど。。 緊張感を高ぶらせる演出が頗るうまい。 ホテルに集まったブルジョア階級の外国人たちのそ…

映画『マーターズ』の私的な感想―アンナの台詞に隠された本当の恐怖―(ネタバレあり)

Martyrs/2008(フランス/カナダ)/100分 /私的なベストスリラー映画 /この映画だけは胸糞なんて言葉じゃ、語りつくせない。 けれど大抵のレビューサイトでは、この映画の核心がイマイチ理解できてないような気がして。。 私的にはNo.1スリラー映画と呼…

映画『娑婆訶(サバハ)』の私的な感想―ヘロデ王の虐殺に準えた宗教戦争と人の祈り―(ネタバレあり)

사바하/SVAHA : THE SIXTH FINGER/2019(韓国)/123分 /ヘロデ王の大虐殺 /『コクソン』の二番煎じかと思い身構えてしまった自分が恥ずかしくなる程、純粋でストレートな思いをぶちまけた映画だ。 “サバハ”だか“バサラ”だかよくわからないこの手の単語…

映画『魂のゆくえ』の私的な感想―宗教に縛られる者が見失っていく事―(ネタバレあり)

First Reformed/2019(アメリカ)/113分 /宗教に捕らわれる者の悩み /この映画のテーマでもある問題をちょっと昔に突きつけられた事がある。 幼少期よりアメリカの片田舎で、敬虔なバプテスト(キリスト教プロテスタントの一教派)の家庭にどっぷり浸っ…

映画『サスペリア』の私的な感想―リメイクされた本物のモダンホラー―(ネタバレあり)

Suspiria/2018(アメリカ、イタリア)/152分 /本当の狂気 /ホラー映画のリメイク物は大抵駄作に終わる。 それは恐怖の根本を蔑ろに、進化した映像処理に依存してしまう自分達の悪癖でもある。 78年のホラーの生みの親ジョージ・A・ロメロの『ゾンビ』に…

映画『マグダラのマリア』の私的な感想―キリストに捧げる究極の愛情―

Mary Magdalene/2018(イギリス)/120分 /人道主義的なキリスト教の精神 /最近、中学の国語の授業の中で『作られた『物語』を超えて』という人類学者山極寿一氏の著書がある事を知った。 彼は霊長類学者として30年以上のキャリアを積んでゴリラの研究に…

映画『バード・ボックス』の私的な感想―あれを見てしまった人間達は・・―(ネタバレあり)

BIRD BOX/2018(アメリカ)/124分 /現代社会の一片を切り取ったディストピア /『すべての終わり』に続き、Netflixがポストアポカリプス映画にも本格的に参戦し始めてきたみたいだ。 ドラマ作りはともかく、映画というジャンルにおいてはイマイチ良作の少…

映画『テルマ』の私的な感想―ノルウェーのキリスト教圏で覚醒する少女の目覚め―

Thelma/2017(ノルウェー)/116分 / 日本人のバイブル /結論から言うと宗教を題材にした映画は結構面白い。 『Mother!』や『コクソン』等の映画でキリスト教を大分批評してきた自分が言うのもなんだが、聖書は人間の核心の部分をついてくる。 それを自分…

映画『死の谷間』の私的な感想―ディストピアに生きるアダムとイヴ―(ネタバレあり)

Z for Zachariah/2015(アメリカ、スイス、アイスランド、ニュージーランド)/98分 / 日本人のバイブル /結論から言うと宗教を題材にした映画は結構面白い。 『Mother!』や『コクソン』等の映画でキリスト教を大分批評してきた自分が言うのもなんだが、…

映画『ヘレディタリー/継承』の私的な感想―悪魔パイモンに魅入られた禁断の家族―(ネタバレあり)

Hereditary/2018(アメリカ)/127分/悪魔の存在 /圧倒的な不気味さが漂う作品だ。 老婆の様な顔つきの無表情な少女。断面図的に切り取られる画の構図。 冒頭で死を迎えている老母の葬儀は、主人公である母の闇の儀式の始まりに過ぎない。 この映画の登場…

映画『三度目の殺人』の私的な感想―からっぽの器が背負う十字架―(ネタバレあり)

The Third Murder/2017(日本) /余韻を咀嚼する珠玉のサスペンス 白昼夢を見ている様な感覚に陥る映画です。 『万引き家族』で行政の歪を描いた是枝監督がこの作品で暴いたのは司法の闇。

映画『スリービルボード』の私的な感想―アメリカの縮図と免罪符―(ネタバレあり)

Three Billboards Outside Ebbing, Missouri/2017(アメリカ)/ 絵に描いたような典型的なアメリカ映画です。 第90回アカデミー賞で6部門で7つにノミネートされ、主演のフランシス・マクドーマンドと助演のサム・ロックウェルがそれぞれ最優秀賞を受賞した…

映画『哭声/コクソン』の私的な感想―福音書に準えた韓国発のアルマゲドン―(ネタバレあり)

곡성(哭聲)/2016(韓国) /冒頭にルカによる福音書のインタータイトルが出てきた時点で、なんか嫌な予感がしてたんですが・・ ダーレン・アロノフスキー監督の映画『mother!』の韓国版かとも思ったんですが、この作品は更にその上をいく難解ぶり。。。 …

映画『mother!』の私的な感想―究極のタブーに踏み込んだ問題作―(ネタバレあり)

mother!/2017(アメリカ) /必ず見返したくなる宗教映画 /伝説の恐怖映画『マーターズ』に対をなす宗教映画と言えるのかもしれない・・。 ジャンルに分けるとしても何と言っていいのか・・ サスペンス?スリラー?ホラー?オカルト? とまあ、多分その全…

映画『ミスト』の私的な感想―ラストシーンに待ち受ける衝撃のトラウマ―

The Mist/2007(アメリカ) /フランク・ダラボンの作品は殆ど見てきましたが、彼は基本的に大どんでん返しが好きなんでしょうか・・? 『ショーシャンクの空に』や『グリーンマイル』等で感動的なラストシーンを作り上げてきた彼も、実は元々はホラー映画…

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