マリブのブログ

ミネルヴァの梟は迫り来る黄昏に飛び立つ

岩井俊二作品

映画『ラストレター』の私的な感想―未咲と鏡史郎はなぜ別れたのか?―(ネタバレあり)

Last Letter/2020(日本)/121分 /答辞に込められた思い / 久しぶりに観た岩井俊二の新作は、正直かなりヤバかった。 それは、夢を見続けていた十代の頃に憧れた、紗のかかった映像がすっかり薄くなり、俳優達の止めどない直球の台詞が、劇中に溢れてる…

映画『ヴァンパイア』の私的な感想―愛しくも切ない岩井童話の世界―

Vampire/2011(日本/アメリカ/カナダ)/119分 /岩井俊二初の海外長編映画 / 抽象的な表現の多い岩井映画を、苦手な人は少なくない。 けれど、目に見えるものが全てとは限らない世の中では、どうしても、感覚だけは研ぎ澄ませておきたくなってしまう。…

映画『花とアリス』の私的な感想―揺れる女心とビタースイートな思い出―

HANA&ALICE/2004(日本)/135分 /等身大目線の温もり / 岩井俊二の映画は、大抵どれも優しい音色がする。 その中でも、この映画の温もりは未だに冷めやらない。 彼の映画は、殆どと言ってしまっていいほど、説明がない。 駅のホームに佇む少女達の白い息…

映画『リリイ・シュシュのすべて』の私的な感想―青春の瑕と夏の匂い―

All About Lily Chou-Chou/2001(日本) / 透明感のある青春の瑕 /『スワロウテイル』でそのセンシティブな世界観を描ききった岩井俊二が、原点回帰したとも言える映画がこの作品。 最近一部の若い世代の岩井俊二をリアルタイムで知らない人たちの間では…

映画『打ち上げ花火、下から見るか?横から見るか?』の私的な比較―映画か?アニメか?―

打ち上げ花火、下から見るか?横から見るか?/1995(日本) /久々に新作アニメを見ました。 若い自分がずっと傾倒してきた岩井俊二映画のアニメ化作品なのでそれなりに期待して見てみたんですが・・ 正直、予想を遥かに上回る衝撃でした。 それは自分がう…

映画『四月物語』の私的な感想―春に見たい、学生時代の風景―

四月物語/1998(日本) /・・とりあえず春先は、コレを観ておくとなんだか心が少し温かくなります。 この作品には日本人が感じる「春」がすべて詰まっている気がするんですが。 久しぶりに見返して見たら、無駄に大物俳優がゲスト出演しているのにもちょっ…

映画『スワロウテイル』の私的な感想ー円都(イェンタウン)に憧れてー

Swallowtail/1996(日本) /「フェイホン」覚えている方います? ええ、若かりし頃の馬鹿な自分は、彼に触発され髪の毛を緑色に染めていた時期もありました。。 岩井俊二の独特な世界観と、鼻にかかった気だるい声で歌う「YEN TOWN BAND」の音色が心地良過…

映画『Love Letter』の私的な感想―青春の一ページに刻まれた記憶―

Love Letter/1995(日本) /言わずと知れた「岩井美学」の代表作。 この映画をきっかけに彼の作品にハマったヒトも多いんじゃないでしょうか? ほろ苦いエピソードに情緒的でノスタルジックな映像描写を織り交ぜ、90年代の日本映画界を席巻したこの作品は…

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