マリブのブログ

ミネルヴァの梟は迫り来る黄昏に飛び立つ

映画『スワロウテイル』の私的な感想ー円都(イェンタウン)に憧れてー

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Swallowtail/1996(日本)/149分
監督:岩井 俊二
主演:伊藤 歩/CHARA、三上 博史、江口 洋介、渡部 篤郎、山口 智子、桃井 かおり

 「円都」に住む「円盗」達の夢の狭間で

 ・・もう20年以上も前の作品なんですね。。

自分が映画館で観た映画の中で一番回数が多いのがこの作品。
多分軽く10回以上は観に行きました。

当時熱狂的な岩井俊二ファンだった自分は、身内に関係者がいたのをいいコトに、宣伝と称し招待券を使って何十人ものヒト達を映画館に強制連行していました。 

「フェイホン」覚えている方います?

ええ、若かりし頃の馬鹿な自分は、彼に触発され髪の毛を緑色に染めていた時期もありました。。 

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(C)1996 SWALLOWTAIL PRODUCTION COMMITTEE


岩井俊二の独特な世界観
と、鼻にかかった気だるい声で歌う「YEN TOWN BAND」の音色が心地良過ぎて、写真集からCDまでマニアの様に買い漁っていました。

今から考えれば、この映画の一番の魅力はアジアとNYの雑踏が合わさったようなあの奇妙な街そのものだった気がします。
 岩井俊二のもう一つの闇の名作はコチラ
 

 

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―――「円」が世界で一番強くなった架空の世界。
数多の外国人労働者が日本に押し寄せ、人種の坩堝と化したとある都市「円都」(イェンタウン)を舞台にしたこの作品は、そんな混沌と熱気に満ちた街でエネルギッシュに生き抜く「円盗」(イェンタウン)と呼ばれる人々の栄光と挫折を描いた作品です。

上海からやってきた下層労働者、娼婦のグリコは、ある日街で孤児となった少女アゲハと出逢う。
行き場のないアゲハは、一時はグリコに売り飛ばされそうになりながらも、何とか彼女の元で共に生活を始める。
多種多様な労働者が集まる円都で、夜な夜な青空市場に集う彼らの唯一の憩いは、歌のうまいグリコの優しく静かな歌声。
そんなある日、客で来ていたヤクザがアゲハを襲おうとした為、グリコはうっかり彼を殺してしまう。
途方に暮れた彼女は、仲間のフェイホン達と一緒に彼を山の中に埋めようとするが、その死体の腹から出てきたのは偽札の磁気データが記録されたカセットテープ。
彼らは一獲千金を夢見、そのデータから偽札を作り出しそれを生業にしていくが・・ 

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(C)1996 SWALLOWTAIL PRODUCTION COMMITTEE

 岩井美学の集大成

映画『Love Letter』で数々の映画賞を受賞し、一躍有名監督の仲間入りを果たした岩井俊二が、壮大なスケールのその世界観を音楽プロデューサー小林武史とコラボし創り出したこの作品は、私的には間違いなく彼の集大成と言っていい作品だと思います。

当時正式な公表はされませんでしたが、邦画としては規格外の予算と予想を遥かに上回る長期ロケを敢行し、一部映画関係者の間では興行成績を疑問視されていましたが、結論として、

 

いいんです、それでも。 だって、岩井俊二だから。。

 

昨今、山崎貴監督の『ALWAYS 三丁目の夕日』や、樋口真嗣監督の『シン・ゴジラ 』等でハリウッドに勝るとも劣らないCG技術を駆使した作品が多い中で、この作品はその殆どをオープンセットで撮影されています。

開拓途中の浦安や、新子安の寂れた川辺の一角、劇中異様な空気を醸し出していた不夜城「阿片街」は横浜の鶴見国道駅近辺で撮影されていて、だからこそいたってリアル

舞台はあくまでも未来の日本の架空都市という設定なんですが、そんな空想の世界を敢えて情緒的な日本の原風景で撮影する事により、どこか懐かしみのある日本人の感覚に沿った異世界が創り上げられている風に感じます。 

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(C)1996 SWALLOWTAIL PRODUCTION COMMITTEE

 Swallowtail Butterfly 〜あいのうた〜

この映画のもう一つの魅力は、今尚歌い継がれる名曲「Swallowtail Butterfly〜あいのうた〜」
 


Chara - Swallowtail Butterfly ~あいのうた~ ap Bank fes 11Bank Band LIVE

カラオケでコレを歌ってくれる方とは大抵話があいます。

若いヒトでCharaを知らない方は最近多いみたいですが、この物語の中の彼女を観れば大抵の男はハマるんじゃないかと。。

劇中の「YEN TOWN BAND」というグリコ演じるCharaが率いるバンドのテーマソングなんですが、その個性的な歌声は彼女の虚ろなキャラクターと相まって、もう正に絶妙のハーモニー

自分も正直この作品を観るまで、Charaをじっくり聴いた事はなかったんですが、映画を観終わった後もこの歌は、かなり強く耳に残ります。

楽曲と映画のテイストがここまでマッチしている作品ってあんまりないんじゃないでしょうか?

映画はこの彼女のアーティストとしてのサクセスストーリーを描いていくんですが、その中で恋人と別れる切ない描写も全てこの歌に溶け込んでゆくような・・

この作品には、当時彼女のまだ夫だった浅野忠信が実はこっそり友情出演しています。

岩井シンパではなくともグリコのライブハウスでその歌声を聞けば、彼と同じようにその魅力に酔いしれてしまいそうになるそんな名作です。

「春」に見る岩井俊二映画はコチラ

  

『スワロウテイル』
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