マリブのブログ

ミネルヴァの梟は迫り来る黄昏に飛び立つ

青春

映画『はちどり』の私的な感想―愛のない世界で叫ぶ少女―(ネタバレあり)

벌새/House of Hummingbird/2020(韓国)/138分 /言葉に出来ない想い /言葉に出来ない想いを表現するのが映画だ。 その上で、この作品ほど、文字に起こすのが困難な映画もめったにない。 新進気鋭の女流監督キム・ボラが、その少女期を自叙伝の様に綴っ…

映画『天国の口、終りの楽園。』の私的な感想―大人へと成長する全ての少年達へ―

Y tu mamá también/2001(メキシコ)/105分 /嘘で固めた心 昔の若者は、みんなズルかった。 恋愛に、友情に、両親への感謝のキモチさえも。 漠然と焦る心をひた隠しにし、どうでもいい小さな嘘をつきまくって、張り詰めた自分の気持ちをそっと塗り固める。

映画『花とアリス』の私的な感想―揺れる女心とビタースイートな思い出―

HANA&ALICE/2004(日本)/135分 /等身大目線の温もり / 岩井俊二の映画は、大抵どれも優しい音色がする。 その中でも、この映画の温もりは未だに冷めやらない。 彼の映画は、殆どと言ってしまっていいほど、説明がない。 駅のホームに佇む少女達の白い息…

映画『そうして私たちはプールに金魚を、』の私的な感想―偶然にも最悪な少女―

And so we put goldfish in the pool./2017(日本)/27分 /少女達の衝動 /自虐ネタ映画には結構面白いものもある。 人のいい道産子や開放的なウチナンチュー、或いは、頑固でサバけた高知人や気位の高い京都人等、日本人の県民性には、その土地の歴史や…

映画『ラブ&ポップ』の私的な感想―トパーズに惹かれた女子高生の真夏の夜のユメ―

LOVE&POP/1998(日本)/112分 / 欠けた者達が集まる街 /失敗から学べることは結構いろいろある。 ことわざでは“怪我の功名”、英語では“comes out smelling like a rose”なんてオシャレな例え方もあるようだけど、思えば自分の人生でもこんな事は日常茶飯…

日テレドラマ『3年A組』最終話で菅田将暉が伝えたかった事。―本当の悪は個人ではなく想像力を失う事―

なんだかこの手のドラマは、無性にこっぱずかしい。 アラフォーにもなって、今更学園ミステリーなんてどれだけ中二病全開なのかなんて思われちゃうかもしれないけど・・ 何をとち狂ってか、自分は大した夢もなく青春時代を海外で過ごしてしまった為、何時の…

映画『テルマ』の私的な感想―ノルウェーのキリスト教圏で覚醒する少女の目覚め―

Thelma/2017(ノルウェー)/116分 / 日本人のバイブル /結論から言うと宗教を題材にした映画は結構面白い。 『Mother!』や『コクソン』等の映画でキリスト教を大分批評してきた自分が言うのもなんだが、聖書は人間の核心の部分をついてくる。 それを自分…

映画『止められるか、俺たちを』の私的な感想―『カメ止め』で映画界に魅せられた人達へ・・―

止められるか、俺たちを/2018(日本)/119分 / 彼が死んだ日の朝に。。 /まるで自分たちの半生を振り返ってくれたかのような映画だった。 くぐもった閉塞感の中、あの頃抱いていた情熱が静かに蘇ってくる。。 「今日は何の日?」 なんて、ちょっと意地悪…

映画『きみの鳥はうたえる』の私的な感想― 屈託なく笑う石橋静可の笑顔―

きみの鳥はうたえる/2018(日本)/106分 / 屈託なく笑う彼女の笑顔 /こんなにも美しく笑う女優を初めて見たかもしれない。 ビートルズの「リボルバー」に収録されたジョン・レノン作のロック・ナンバーを邦題に起こしたこの作品には、終始その気怠くも心…

映画『リリイ・シュシュのすべて』の私的な感想―青春の瑕と夏の匂い―

All About Lily Chou-Chou/2001(日本) / 透明感のある青春の瑕 /『スワロウテイル』でそのセンシティブな世界観を描ききった岩井俊二が、原点回帰したとも言える映画がこの作品。 最近一部の若い世代の岩井俊二をリアルタイムで知らない人たちの間では…

映画『カメラを止めるな!』の私的な感想―奇跡のワンカットが生んだ止まらない映画愛―(ネタバレ殆どなし!)

ONE CUT OF THE DEAD/2017(日本) / ゾンビ映画をテーマにしたC級コメディー? /・・正直、この手の映画は最初あまり見る気にはなれませんでした。。 前評判からゾンビ映画をテーマにしたコメディーと聴いてしまっていたので、B級どころかC級?な匂いも…

映画『深呼吸の必要』の私的な感想―ウチナンチュに受け継がれる魂―

深呼吸の必要/2004(日本) /究極の癒し、沖縄の精神 夏が近づくと思い出す映画です。 篠原哲雄監督の沖縄愛がたっぷり詰め込まれているこの作品は、自分にとって究極のヒーリング映画。 疲れた時に、ただ、何も考えずに感じるだけの作品です。

Netflixオリジナル『13の理由』の紹介と私的なススメ―自殺に追い込むSNSの闇―

13 Reasons Why Season1/2017~(アメリカ) /ティーンの苦悩とSNSの恐怖 LINEやTwitterで誰かの陰口を呟いた事はありませんか? 規制ばかりでいくら上辺を取り繕っても、万人の心に闇はあります。 親や教師から手を上げられた事もない世代の人達は、その…

映画『打ち上げ花火、下から見るか?横から見るか?』の私的な比較―映画か?アニメか?―

打ち上げ花火、下から見るか?横から見るか?/1995(日本) /久々に新作アニメを見ました。 若い自分がずっと傾倒してきた岩井俊二映画のアニメ化作品なのでそれなりに期待して見てみたんですが・・ 正直、予想を遥かに上回る衝撃でした。 それは自分がう…

映画『四月物語』の私的な感想―春に見たい、学生時代の風景―

四月物語/1998(日本) /・・とりあえず春先は、コレを観ておくとなんだか心が少し温かくなります。 この作品には日本人が感じる「春」がすべて詰まっている気がするんですが。 久しぶりに見返して見たら、無駄に大物俳優がゲスト出演しているのにもちょっ…

映画『スタンド・バイ・ミー』の私的な感想―少年達に託した幻想とは?―

Stand by Me/1986(アメリカ) /子供から大人へと成長する過渡期のひんやりとした心の痛み。 永遠に感じたあの瞬間は、今思えばそれはこの作品同様思春期ならではの幼児性を秘めた願望で、立ち止まる事の出来ない人生においての一種のメタファに感じます。…

映画『あゝ、荒野』の私的な感想―寺山修司の魂を引き継いだ菅田将暉の迫力―

あゝ、荒野/2017(日本) /久々に強い映画を見ました。 身構えずに見ると、ちょっと火傷しそうになる映画です。 この映画で若干25歳で最優秀主演男優賞に輝いた俳優、菅田将暉には、皆さんと同じく以前から注目してはいましたが、この作品での熱演で同年代…

映画『日本黒社会 LEY LINES』の私的な感想ーリアルなさみしさ・・ー

LEY LINES/1999 /CXドラマ『昼顔』で画家の加藤を演じ、主婦層にもそのセクシーな魅力を広めた北村一輝の初期の頃の主演映画ですが、この作品の監督も実は世界的に有名になりつつある三池崇史監督。 アイロニックな主人公の悲哀に満ちた青春を描いたこの作…

映画『櫻の園』の私的な感想―禁断の花園に漂う、淡い春の思い出―

櫻の園/1990(日本) /監督:中原 俊 /出演:中島 ひろ子、白島 靖代、宮澤 美保、つみき みほ /チェーホフの四大戯曲の一つ『桜の園』を演じる女子高生達の群像劇。吉田秋生漫画原作で映画化された作品の中でも屈指の傑作。

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