マリブのブログ

ミネルヴァの梟は迫り来る黄昏に飛び立つ

冬におススメ

映画『花とアリス』の私的な感想―揺れる女心とビタースイートな思い出―

HANA&ALICE/2004(日本)/135分 /等身大目線の温もり / 岩井俊二の映画は、大抵どれも優しい音色がする。 その中でも、この映画の温もりは未だに冷めやらない。 彼の映画は、殆どと言ってしまっていいほど、説明がない。 駅のホームに佇む少女達の白い息…

映画『マリッジ・ストーリー』の私的な感想―冷静と情熱の間で立ち戻る女の分岐点―

Marriage Story/2019(アメリカ)/136分 /女の分岐点 / この映画を独りで見てしまった事を、後になって酷く後悔した。 “映画は誰かと一緒に見たい!”なんて世迷言は疾うに捨てたつもりだったけど、やっぱり女の分岐点を具に捉えたこの映画は、女性側の視…

映画『フラクチャード』の私的な感想―砕かれた男の見る白昼夢―

Fractured/2019(アメリカ)/99分 /砕け散った男 思い込みの激しいオトコが、夜中にひっそり膝を抱え怯えて見るには十分の映画。 自分もその術中にまんまとハマり、気がつけば、ため息が漏れまくっていた。。 世界のホラー映画の巨匠13人なんかにちゃっか…

映画『CRESCENT 冷たい海の底』の私的な感想―マーブルに染まる女が辿り着く海辺―(ネタバレあり)

The Crescent/2017(カナダ)/99分 /メランコリックな異色ホラー /冒頭に出てくる色彩豊かなマーブリングの映像を見ていると、始めはだいぶメランコリックな映画の様に感じてしまう。 寒々しい海と家。 更にそこに幼子を見守る母親が佇んでいると、やっ…

映画『テルマ』の私的な感想―ノルウェーのキリスト教圏で覚醒する少女の目覚め―

Thelma/2017(ノルウェー)/116分 / 日本人のバイブル /結論から言うと宗教を題材にした映画は結構面白い。 『Mother!』や『コクソン』等の映画でキリスト教を大分批評してきた自分が言うのもなんだが、聖書は人間の核心の部分をついてくる。 それを自分…

映画『ホールド・ザ・ダーク』の私的な感想―子殺しに魅せられた本当のアラスカ―

Hold the Dark/2018(アメリカ)/125分 /エッジのききまくった厭世観 /ちょっとしたミステリー?スリラー映画?な感覚で自分の様に手を出してしまうと、激しく後悔する事になるだろう。 125分の長尺と物語の全体を覆う暗いムードだけでも落ち込んでいる…

映画『ウインド・リバー』の私的な感想―インディアン社会からの悲鳴―

Wind River/2017(アメリカ) / 静かに訴え続ける民族差別 /キャスリン・ビグローが『デトロイト』で暴いた黒人差別の実態を“動”とするならば、正にその対となるのがこの作品。 ドゥニ・ヴィルヌーヴの『ボーダーライン』で脚本家を務めていたテイラー・…

映画『境界線』の私的な感想―二人だけが取り残された世界―

BOKEH/2017(アイスランド/アメリカ) /皆さんは『Bokeh』(ボケ)が世界共通語だという事を知っていましたか? 写真や映画でワザと背景等をボケさせる意味でよく使われるこの言葉は、昨今世界共通語になったそうです。

映画『フローズン』の私的な感想―閉ざされた雪山での本当の恐怖―

FROZEN/2010(アメリカ) /この作品は自分にとって又と無いうってつけの状況で観賞出来た、オススメというよりスリルを楽しむサバイバルワンシチュエーションスリラー映画です。 ストーリーは至って単純で、雪山に遊びに来たカップルとその友人が、係員の…

映画『クラッシュ』の私的な感想―ココロが震える、圧巻の魂の叫び声―

Crash/2005(アメリカ) / 忘れません。この映画は。 この作品を誰かに伝えたくて、著者はこのブログを初めました。 感動というより、見終わった後の胸の奥の小さなぬくもりが今でも忘れられません。 多民族国家を象徴するようなアメリカの、様々な人種が…

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