マリブのブログ

ミネルヴァの梟は迫り来る黄昏に飛び立つ

―オーストラリア発の人気海外ドラマー『ウェントワース女子刑務所』の紹介と私的な感想

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Wentwoth Season1/2013~(オーストラリア)
製作総指揮:ジョー・ポーター
出演:ダニエル・コーマック、ニコール・ダ・シルバ、クリス・マクウェイド、リーアナ・ウォルスマン、セリア・アイルランド、シャリーナ・クラントン他

 剥き出しになる女性たちの本能を描いた人間ドラマ

最近、ハマっているドラマの一つですが、このドラマは結構ヤバイかも。

現実逃避傾向が強いので、どうしても非現実的な世界を描いた作品に興味が行ってしまいがちなんですが、この作品だけはちょっと別格です。

始めは『ゲームオブスローンズ』『ウォーキングデッド』のつなぎ的に観ていたんですが、まんまとハマってしまいました。。

壮大なスケールの世界観で描くファンタジーでもなく、世紀末のゾンビ蠢く世界でもなく、このドラマの舞台は閉鎖的な刑務所の中のみ。。

それでも、

すごくいいんです。

登場人物が皆、必死にもがき苦しみ悩みながら生き抜いていく様子が。。

そしてなによりもそのキャラクター達の魅力的な個性が絶品です。

ちゃちいVシネマチックな過激な濡れ場もなく、設定的にありえないような美人な囚人等も一切出てきませんが、逆にだからこそ全員リアルで、泥臭い女達の駆け引きが正に絶妙なんです。

切なくなるほどの、彼女達の不器用さとその悲しさ。。

男性目線の自分からしてもそうなので、女性からしたら尚更でしょう。

チープな設定の日本のドラマに飽き飽きしてる方には是非オススメ。

なので今回はまだこのドラマを観ていない方達の為に、そのメインキャラの紹介とオススメのポイントをまとめてみます。





 



 『ウェントワース女子刑務所』って?

『ウェントワース女子刑務所』は70年代にオーストラリアで製作された『Prisoner Cell Block H』というタイトルのドラマのリバイバル作品で、登場人物はそのままに、その設定とストーリーを少々アレンジし、同国にて2013年から放送されているテレビドラマです。
2014,2015年にオーストラリアのエミー賞と言われるアステラ賞を2年連続で受賞し、更に2015年には同国テレビ業界で最も権威あるロジー賞にも輝いています。

ストーリーは「ビー・スミス」という女性が夫の殺人未遂容疑で刑務所に収監されるところから始まります。

ビーは夫のDVから逃れられず、発作的に夫を殺そうとしてしまうどちらかというとメンタルの弱い女性なのですが、そんな彼女を刑務所内で待っていたのは激しい憎悪蠢く女達だけの閉ざされた世界。
「トップドッグ」と呼ばれる刑務所内のボスの座を巡る争いに巻き込まれていく彼女は、当初は残してきた娘の安否を想いながら、被害者の様に彼女たちの間で揺れ動いていますが、ある事件をきっかけに彼女は大きく変貌してゆきます。 

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 シーズン1での3人のメインキャラクター

2018年現在Huluでシーズン5が視聴可能になりましたが、まだこのドラマに出逢っていないヒト達の為にファーストシーズンに出てくる主要キャラ3名をピックアップしておきます。
 

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フランキー・ドイル(ニコール・ダ・シルバ)

ウェントワース刑務所内で一大勢力を持つ、若きカリスマ
レズビアンで激情的な性格だが、その実は幼少期に暗い過去を持っている。
仲間想いで頭もキレる彼女はこのドラマの正に陰の主人公ともいえる存在。
傷害罪で7年の刑期。
 

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ジャックス・ホルト(クリス・マクウェイド)

古株のウェントワースの実質的女帝
「トップ・ドッグ」の座に君臨し続ける為、巧妙な作戦でフランキー一派を潰そうと目論んでいる。
物語の冒頭では独房に入れられているが、その影響力は刑務所外にまで及んでいる。
殺人罪で14年の刑期。
 

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ビー・スミス(ダニエル・コーマック)

70年代に放送されたこのドラマの元の作品では彼女は「伝説の囚人」として描かれており、今回はその前日譚として、気弱な美容師の主婦だった彼女が、如何にして伝説と呼ばれるようになっていったのかを描いています。
殺人未遂の容疑で拘留中。

他にも一見面倒見がいいが、アルコール依存症で義母を轢き殺しかけて収監されてしまった囚人達の世話係役のリズ、温厚に見える子供好きだが、麻薬使用中に交通事故を起こし、妊娠していた子供を流産させてしまったアボリジニのドーリーン、巨漢キャラの乱暴者だけどどこか憎めないフランキーの右腕ブーマー等、一癖も二癖もあるキャラクター達がこの刑務所内の群像劇に深みを出しています。 

 シーズン1での5つの見所

2018年2月より、Huluにてこのドラマのシーズン5が視聴可能になりましたが、正直ファーストシーズンが一番衝撃的です。
出来る事ならもう一度あの興奮を・・と感じてしまうくらいスリリングで哀愁に満ちたファーストシーズンの見所は、、

①「トップ・ドッグ」をかけた熾烈な女の闘い

シーズン1のまず何よりもの見せ場はコレです。
とはいっても、男のような暴力での戦いでなく、閉鎖的な空間の中での緻密な頭脳戦激しい心の葛藤に目が離せません。

②囚人たちの暗黙のルール

どこの業界、企業にもあるコトですが、彼女達には囚人としてのルールとは別に、彼女達なりの暗黙の”掟”が存在します。
主人公であるビーも始めその洗礼を受けますが、そこからやがてその社会のしくみを理解し、或いは拒絶し、少しずつ逞しくなってゆく様子には男とは違う女の本質的な強さを感じます。

③「クウィーン・ビー」誕生の秘話

ネタバレですが、この作品は元々ビースミスという一般女性が刑務所内で「クウィーン・ビー」(女王蜂)と称されるまで上り詰めていくその軌跡を追っていくドラマでもあります。
そして同時に、誰にでも起こりうる些細なきっかけから、壮絶な人生が幕を開けてしまうその恐怖も描いていて、刑務所を舞台にした作品では異例の感動ドラマです。

④囚人全員が容疑者の密室殺人

これも完全にネタバレですが、シーズン1の第1話で予想を裏切るある人物の殺人事件が起きます。
この事件により、囚人達のみならず制御する立場の看守達にまでその影響が及び、正に刑務所内の人間全員が疑心暗鬼に陥っていく様は、サスペンス要素満載。

⑤それぞれの囚人達の秘められた過去

個人的にはコレが一番胸に染みます。
短絡的、快楽主義的な犯罪者もそれなりにはいますが、このドラマのメインに出てくるキャラクター達は、冒頭でも伝えた通り、みなどこか不器用で愛着が沸いてしまいます。
囚人だけれどもとても身近に感じられる彼女達のその苦悩は、皆さんの現実世界の中でも十分に起こりうる閉塞感からくる衝動をテーマにしています。
 

シーズン1までは見終わっているんだけど・・という方はコチラへどうぞ。


『ウェントワース女子刑務所』
シーズン6までhulu(月額933円/無料期間=週間)で観れます。

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