マリブのブログ

ミネルヴァの梟は迫り来る黄昏に飛び立つ

海外ドラマ『ウェントワース女子刑務所』シーズン5第11話の私的な感想(ネタバレあり)

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Wentwoth Season5-episode.11/2017~(オーストラリア)
製作総指揮:ジョー・ポーター
出演:ニコール・ダ・シルバ、パメラ・レイブ、ケイト・ジェンキンソン、タミー・マッキントッシュ他

 圧倒的な閉塞感

・・イマーンあっけなかったですね。

ちょっと頼りがいがありそうなキャラに見えたんですけど、ただのストーカー設定のまま死亡させてしまうのはちょっともったいなかった気がします。

最近の『ウェントワース』には新キャラを育てる気があまり感じられませんね。

ドーリーンの退場はまーどーでもいーとしても、ブリジットまでいなくなっちゃうと正統派が一人も居なくなり拠り所なくちょっとシンドイ気がします。

悪役も悪役で、ソーニャはファーガソンを縮小したような小物感満載だし、ルーシー亡き後ファーガソンの右腕になりそうなティナも出番が少な過ぎる。。

全体的に悪も正義もなんか中途半端で、視点の置き場に戸惑ってしまいます。

・・この圧倒的な閉塞感のまま残りあと2話で命題でもある、フランキーの脱獄劇ファーガソン討伐まで辿り着けますかね・・?

 

某低能プロデューサーによってドラマ性のないクリフハンガーだらけで視聴率を落としてしまった『ウォーキングデッド』の二の舞にならなければいいんですが・・

 

最近ようやく念願だった連ドラの脚本業の仕事を頂いたので、視聴者の視点と構成ばかりが気になってしまう今日この頃です。。

シーズン5第10話の感想はコチラ

 

以下『ウェントワース女子刑務所』シーズン5第11話のネタバレを含んだ上での感想です。

まだご覧になってない方はご注意下さい。



 



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 審判の日を迎えるファーガソン

ヴェラにマジボレし始めて、悪夢に苛まれているジェイク。
ファーガソンとの決別を誓ったようですが、彼女の言う通りジェイクは弱すぎるんですよね。
ヴェラとの逃避行を夢見始めたジェイク。
看守長の解任を期にそんな彼の儚い夢に影響されていくヴェラはちょっとかわいい気もしますが、チェニングとのけん制のしあいで苛立っていたファーガソンにジェイクの本性を暴露されて一転、絶望のどん底に落とされてしまいます。

猜疑心いっぱいの小物同士の淡いラブストーリーがようやく終結したので、正直少しホッとしてしまいました。

 

カズの回りにはいつの間にか屈強そうな女囚たちが集まっていますね。
アリーも復帰し、元レッド・ライト・ハンドのメンバーで『ウェントワース』の秩序回復を狙っています。
そこで必要となってくるのはやっぱりフランキーの求心力。

しかし賢い彼女はカズたちの頼みに難色を示します。

フランキーの言う通り、良心や規範のない悪は綺麗ごとでは中々倒せません。

 

リズは裁判での偽証で逆に自分にソーニャとの共謀の疑いがかけられた事により、ドンがソーニャと結託していた事に気づきます。
ようやく真相に辿り着いたリズは彼女に敵意をむき出しにしますが、肝心な事はリズが安易に人を裏切ってしまう密告者体質から変われない事。。
案の定、昔からの絆で結ばれていたブーマーにその事がばれ、自責の念の中で発狂。

ファーガソンとヴェラの両方に追い詰められたジェイクも自殺を試みますが、あえなく失敗に終わります。

 

・・『ウェントワース』に広がるは、やはりここな気がします。

 

善人でも悪人でも、弱い人間は決して立ち直れず、その絶望感はドラマというより現実社会の不条理そのもの。。

人間関係に疲弊している社会人にとっては、夢を見れる隙のないドラマになってきている気がします。

予定調和がなくリアルな社会の現状を閉塞感たっぷりに描き続けるのは、それを知らない人達への追体験を意識して作られているからなのでしょうか?

 

ラストはようやく手を結んだ、フランキー、アリー、カズ達の手によってファーガソンがとうとう女囚たちの前で弾劾裁判にかけられます。

口封じの為に殺害された初代”トップドッグ”ジャックスの右腕だった、シモーヌ。

ビー殺害の為に洗脳され発狂していった、ジョディ

ウェントワース炎上のきっかけとなり殺された、ジェス

ファーガソン政権の樹立に利用され舌を切り裂かれた、ルーシー。

フランキーを刑務所に閉じ込める為抹殺された、イマーン。

そしてアリーの殺害未遂ビー・スミスの正当防衛による殺害容疑まで囚人達に告発したフランキーに煽られ、ファーガソンは遂にその本音を吐露します。

横暴で利己的な彼女の内なる本性を垣間見た女囚たちは、それまで彼女を擁護していたティナ達も一転、全会一致の波に押されてファーガソンをいよいよつるし首に・・

口封じをしたいチェニングとジェイク、正義を貫きたいジャクソンら看守たちにも見放されたファーガソンがようやく最後を迎えるかと思いきや・・・

 

ヴェラがそんな彼女を助け出します。。。

 

これでファーガソンが改心するとは到底思えませんが、この無知と感情を抑えきれない幼さの上に成り立つ悪徳の栄えこそが、健全な精神を保つために必要な社会悪そのものなんでしょうか?

ラスト1話を残し、自己承認要求の末の破滅願望をむき出しにしてしまったファーガソンの心の声に、一番感情移入出来てしまった興味深いエピソードでした。

シーズン5最終話の感想はコチラ

 

『ウェントワース女子刑務所』
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