Wentwoth Season5-episode.12/2017~(オーストラリア)
製作総指揮:ジョー・ポーター
出演:ニコール・ダ・シルバ、パメラ・レイブ、ケイト・ジェンキンソン、タミー・マッキントッシュ他
フィナーレを迎えるにあたって
とうとう『ウェントワース』最終話です。
フランキーとアリーの脱獄。
破滅に向かうファーガソン。
カズの決断やリズの復讐等クロージングしなければならない出来事がてんこ盛りで、果たしてうまく収束出来るのでしょうか?
ジャクソンとジェイクあたりもそろそろ決着をつけなければいけないんですが、そこで話をややこしくしてしまうのが、
ヴェラの存在。。
自分が彼女をどうしても愛せない原因は、やはり彼女の浅はかさが一番の理由な気がします。
善人でも悪人でもなく、常に周りに翻弄され、信念もなく揺れ動いている人間。
等身大の自分達の現実そのものなのかもしれませんが、だからこそもうちょっと5シーズンにも渡って描いてきた彼女の成長もそろそろ見せてほしいんですが・・
報われない現実、性悪説に沿った人の世の不条理ばかりでは、なんだかドラマを見ていても疲れてきてしまいます。
例えそれが罪を犯した人間達の巣窟である刑務所内の話だとしても・・
シーズン5第11話の感想はコチラ
以下『ウェントワース女子刑務所』シーズン5最終話のネタバレを含んだ上での感想です。
まだご覧になってない方はご注意下さい。
それぞれの信念
チェニングやジェイク達にも見限られ追い詰められていくファーガソン。
命を救ったヴェラに感謝を伝え、自分を保護房に入れるよう進言しますがファーガソンの策略によって看守長の地位をはく奪された彼女にはもうその権限がありません。
キャラクターとしては現実味があり過ぎて興味を持てないヴェラですが、彼女の役を演じるケイト·アトキンソンの演技にはなかなか目を見張るものがありますね。
彼女の微妙な心模様はファーガソンとの対峙の時等には如実に表れ、まだ看守長だった頃のファーガソンへ心酔してしまっていた自分への憤りを薄っすらと漂わせ続けています。
この彼女と、救いようのないサイコパスを演じ続けるパメラ・レイブの名演は、一周廻って最近では感心させられてしまいます。
どこかの往年の日本人俳優も言っていましたが、ここまで視聴者に嫌われる役を演じ切るのは正に悪役冥利に尽きるのでしょうか?
やがて看守長の座を兼任するチェニングはカズをけしかけ、トップドッグの座に返り咲く為のファーガソンの始末を示唆します。
それはまるで、策略を張り巡らせ自身の身を守り続けていた第二のファーガソンのように・・
脱獄計画を前に、人望のあるフランキーには相変わらず苦労が絶えません。
裏切者の過去がバレてソーニャからの復讐に怯えるリズは、フランキーに庇護を求め、彼女はソーニャに釘を刺します。
一方、ジャクソンは日和見主義の看守リンダからジェスパーの暗殺にも携わっていたジェイクの存在にようやく気づかされます。
ジャクソンに泣きながら告解を始めるジェイク。
更に自己破滅願望を持つファーガソンの言葉にも後押しされ、ジャクソンはその信念が揺らぎ始めます。
カズにもその思いを告げ、ファーガソンに対する自分達の甘い正義心に気付かされていく二人。。
アリーからフランキーの脱獄計画の真意を知らされたリズは、彼女の正義を尊重する為に今度は逆にフランキーを気遣い始めます。
リズの思いを悟ったフランキーは、自分のお守りのカイトのペンダントを彼女に託します。
この辺の二人の変わらぬ友情には、長年の刑務所生活で培われた女同士の絆が溢れていてなかなか切ない描写でした。
ファーガソンとの決闘ムードが漂うカズ。
自分の力でソーニャへの復讐を誓うリズ。
フランキーとアリーの脱獄計画は、寸前のトコロでアリーだけがジェイクにバレてしまいます。
アリーはフランキーの身を案じますが、ジェイクはその計画をジャクソンに漏らします。。
やがて自分の非暴力の信念を打ち消すかのように、腕のギブスを叩き壊すカズ。
仲間を連れいよいよファーガソンの暗殺に向かいますが、そこにあったのは・・
ファーガソンの身代わり人形・・・
ソーニャの作業場から出荷される木箱に入って脱出したのはなんと、
フランキーとファーガソンでした・・・
戸惑うフランキーの囚人服のポケットから出てきたのは、アリーからの手紙。。
全てはジェイクに脱獄がバレた時からの彼女の計画でした。。。
彼女はフランキーの無実を証明させる為にその計画自体をジャクソンたちに売り、ファーガソンへの憎しみを募らせる彼らにワザと彼女が脱獄できるかのような状況を作り上げます。
そしてその計画に乗せられたファーガソンは、ジャクソンによって棺ごと生き埋めにされ・・
ここにようやく暗黒女子ファーガソンが、ビーの名の元復讐を誓っていたアリー達の手により、永遠に葬り去られました。
ラストは一人脱獄を果たしたフランキーが、一目だけブリジットに会いに来る切ない描写。。
今でも彼女に残る愛を告げ、闇夜に消えてゆくフランキー。。。
・・大分勇み足の辻褄合わせ感は否めませんが・・・
フランキーの脱獄劇とファーガソンの抹殺を上手く融合させた、久しぶりにウェントワースらしい凝った回でした。
ただ私的に一番感動したのは、、
フランキーの計画を知った後のブーマーの寂しさ。。
ようやく手に入れた自分の居場所を失ってしまう事になっても、彼女の脱獄を手助けする彼女の愛おしさには思わず涙が出てしまいます。
リズとブーマーの成長、ジャクソンとカズの正義心の揺らぎ、そしてサイコパスファーガソンとソーニャの計り知れない闇に包まれた終焉等、感情の機微が忙しくストーリーを追うのにいっぱいになってしまうので、1度見た人でも再度見返してみた方がいいのかもしれません。
シーズン全体に渡ってあまりに気怠過ぎた印象を持ってしまった為、次のシーズンを見れるかどうかまだ分かりませんが、とにかく大分長く引っ張られ続けたそれぞれの決着はついた気がしています。
ファーガソンとソーニャの完全な死を示唆しない終わり方なので、ここをクリフハンガーさせてきたらもうまた一気に疲れが溢れてきてしまいそうで不安は残りますが・・
・・でも、
この展開だとリズとブーマーはもちろん、ジェイクとジャクソンまでフランキーの脱獄を手伝ってしまったことになりますよね・・?
そして信念を打ち破ってでもファーガソンとの決着をつけるつもりでいたカズの心境にも思いをはせてしまいます。
ましてやその彼女の思いを代わりに引き受けたのが、お互い少しずつ惹かれ始めていたジャクソンだなんて・・
犯人が葬り去られた後のフランキーの逃避行、カズとジャクソンの切ない恋時の行方、更には土壇場でとうとうビーの精神を受け継いだアリーの成長等、様々な妄想が次のシーズンへの期待に膨らむフィナーレでした。
シーズン6第1話の感想はコチラ
『ウェントワース女子刑務所』は
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