マリブのブログ

ミネルヴァの梟は迫り来る黄昏に飛び立つ

映画『最強のふたり』の私的な感想―本当の友達のつくり方―

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Intouchables/2011(フランス)/113分
監督:エリック・トレダ
出演:フランソワ・クリュゼ、オマール・シー

 心温まるヒューマンドラマの王道

確か冬の寒い日に、この映画を一緒に観たいと女性に誘われたコトがあります。

フランス映画のヒューマンドラマなんて王道作品は、ひねくれ者の自分にとってはちょっとこっぱずかし過ぎて、観賞後の感想に気を使ってしまいそうな気がしたのであっさり断ってしまいましたが、その後なんとなく気になってやっぱり一人でこっそり観賞。

 

ふんわりと優しい気持ちになれる映画です。

素直になれないヒトには丁度いいかも。。

 

第36回日本アカデミー賞最優秀外国作品賞等を始め数々の映画賞を受賞したこの作品ですが、どうも世界中で日本人ウケが一番いいみたいですね。

介護や福祉の問題を真正面からとらえ、優しく静かな劇中のインストがヨーロッパ映画らしい滑らかな雰囲気を醸し出していて、日本人の情緒をうまく刺激してくれます。

物語の舞台はパリ。

首から下が麻痺した実在の富豪・フィリップと、その介護人を務めたアラブ系青年アブデルとの交流を映像化したこの作品は、その設定を黒人に代え二人が猛スピードでドライヴをしているシーンから始まります。

ちょっとサスペンスチックな冒頭からは僅かに悲劇的な結末を連想してしまいそうですが、それは感動映画にありがちな中だるみさせない演出と脚本の上手いトコロ。

実在する障がい者の役を演じるという、日本人的にはタブー過ぎるキャッチ―な題材で観客のココロを見事に鷲掴みにし、二人の破天荒な交流の末に築かれていく本当の友情の在り方を示していきます。

 

 

 

―――失業保険を受給する為に、介護人を探していた富豪の面接へとやってくるドリス。
その邸宅内では大富豪のフィリップに気に入られようと、介護希望者は皆一様にその経歴や資格、福祉への熱い想い等を語り彼にアピールをするが、ドリスにとってそんな詭弁はどうでもいい話。
そんな中彼はぶっきらぼうにフィリップを揶揄し、失業保険の書類にサインをもらうと、彼はさっさと家路に着こうとする。
貧困層の家庭に生まれ育っていたドリスは、やがて就職先が決まらない事を理由に母親からも見放され途方に暮れるが、フィリップはそんな飾らないドリスの性格に惹かれ、彼を自分の介護者として正式に雇う事を決める。
介護の資格も経験も全く持ち合わせていなかったドリスは、戸惑いながらも棚ぼたの様に舞い込んでいたその仕事をそれなりに熟そうとフィリップの屋敷を訪れるが・・

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 欲しかったのは本当の友達

物語はいたってシンプル。 

障がい者に対する偏見、貧困層の移民労働者の就業問題等、現実の社会問題に対するアンチテーゼが見え隠れしてはいますが、あまり深く考えず、純粋に二人のやりとりを見ているだけで十分心が暖かくなります。

ドリスが欲しかったものは、介護人ではなく友達

資産があろうがなかろうが二人はそれぞれに孤独で、孤独だからこそお互いを尊重し合うようになり、そしてそこに本物の友情が芽生えていく。。

 

その関係性は至ってナチュラル。対等ではなくナチュラル

 

結局、人種も年齢も環境も違う間柄で、相手の事を本当の意味で理解し合うなんて不可能。

分かったふりをしながら中途半端に相手を気遣い、その顔色を伺いながら付きあっていくより、劇中のドリスの様に、分かり合えないとちゃんと言っちゃっていいんじゃないでしょうか?

二人がシェアしているのは、社会に疎外され溶け込めないでいる寂しさという一点だけで、後は気の向くままに行動します。

そのうちドリスは身体障がい者であるフィリップに対し、思いっきり直球の差別発言をしたり、終いにはその体が不自由な事をいいことに彼に悪戯をしおもちゃのように遊び始めます。

それはまるで幼なじみの親友の様に。

劇場で観た時には、周りの観客はこの辺がうまくリアクションが出来ずに苦笑い。

 最初は殻に閉じこもっていたフィリップが次第に明るく開き直っていけたのは、このユーモアに満ちたドリスのアイロニカルな愛情深さが最大の原因のはずなんですが。。

 

辛い時、寂しい時、一緒に泣いてくれる人間はありがたいですが、それは言ってしまえば自己陶酔型のエンパシー。

ドリスにフィリップの不幸なんて分からないし、フィリップにもドリスの不幸なんて微塵も分かりません。

 

だからこそ本当の友達とは、その相手の不幸をきっちり笑いとばしてやる事が出来る人間のコトをいうんじゃないでしょうか?

自分にはあまり多く友人がいませんが、ドリスのようにそんな孤独をあっさり笑い飛ばしてくれる親友がいたなら、正に最強になれた気がする・・そんな作品です。

 

『最強のふたり』
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