LUPIN THE THIRD THE CASTLE OF CAGLIOSTRO/1979(日本)/100分
監督/脚本:宮崎 駿
声の出演:山田 康雄、増山 江威子、小林 清志、井上 真樹夫、納谷 悟朗、島本 須美
ルパンのカッコよさ
ブログを初めてようやく1年が経ちました。
感慨深い思いもかなりあるのだけれど、PV数も収益もさして人様に自慢できる程の事は何もないので、せめて生涯ベストワンアニメの紹介を♪
元々映画好きでもない自分にとって、子供の頃から愛してやまない唯一のアニメと言えば、やっぱり『ルパン三世』。
ドジでおっちょこちょいだけれどもニヒルでユーモラス、更には女ったらしな様に見えて実は一途なトコロなんかも全部ひっくるめ、彼は自分の中では正に理想中の理想の男w
エンターテインメント映画界の帝王スピルバーグにさえ、「史上最高の冒険活劇の1つ」と評されたこの映画は、79年の公開時から半世紀を経ても、その余韻は色褪せない。
後に世界的なアニメ界の巨匠となる宮崎駿が、長編アニメ監督デビューをした作品としても知られるこのアニメは、日テレが誇るメイン映画コンテンツとしても、2019年現在までに、実に16回も地上波で放映されている。
そんな万人に愛されるルパンのカッコよさとは何だろう?
あらすじ
国営カジノの金庫から大金を盗み出すことに成功したルパンと次元。
車中、札束に囲まれていたルパンは、その札が「幻の偽札」とまで呼ばれるゴート札であることに気づく。
国営カジノまでを汚染し始めたゴート札に興味を持ったルパンは、次のターゲットをゴート札の発信源、ヨーロッパの小国・カリオストロ公国に定める。
カリオストロ公国に潜入したルパンと次元は、花嫁衣装を着た少女が武装集団に追われているところに出くわす。
ルパンは追っ手を撃退し、少女を救おうとしたものの崖から落下して気を失い、その間に少女は別の一団にさらわれてしまう。
その少女がルパンを介抱する際に使った手袋に残されていた指輪をみつけたルパンは、彼女がカリオストロ公国大公家の正統な継承者クラリスであることを思い出す・・
打ち切りから始まった大人向けアニメ
アニメ大国の日本に生まれて、ルパン三世の名を知らないヒトはもう殆どいないだろう。
けれどもその初回放送時には、6%代の記録的な低視聴率を叩きだして打ち切りになっていた事を御存じだろうか?
「週刊アクション」で連載されていたこの作品は、アニメ化当時、大人の読者をターゲットにしていたダークでニヒルな作風もあってか、全く視聴率が伸びなかった。
そこでわかりやすい趣向のアニメを嫌う傾向にあったおおすみ正秋から、高畑勲と宮崎駿のコンビに演出がバトンタッチされたことにより、このアニメは転機を迎える。
そのコミカルでより義賊的な描写は、世間に明確に受け入れられるまで多少の時間はかかったが、原作者であるモンキー・パンチ氏に“僕には描けない優しさに包まれた作品”と評されるまでの名作に成り得た。
けれど、宮崎達はそれまで彼らが築き上げてきたそのシニカルさを捨て、本当に大衆迎合的な子供向けの作風に路線変更したのだろうか?
原作小説からの引用
劇中のクラリス演じるヒロインは、実は本家フランスで1905年から四半世紀以上にわたって執筆された小説家モーリス・ルブランの「アルセーヌ・ルパン」の中で彼が最初に結婚した少女の名前でもある。
題名もその彼女が登場する小説の「カリオストロ伯爵夫人」から引用し、時計塔や地下室のモチーフには「幽霊塔」、ラストに湖から出てくるローマ古代遺跡は「緑の目の令嬢」のストーリーからそれぞれインスパイヤを受けている。
つまり、ジブリ独特のハートフルでコミカルな展開も交えながら、彼らはそのテンポを外す独特な間で、ミステリアスな質感のルリタニア・テーマもきちんと残してくれていたわけだ。
更に男心をくすぐる銃火器や乗り物の作画にもかなり手が込んでいる。
それまでのルパンの愛車でもあったベンツやアルファロメオは、スーパーチャージャーつきのコンパクトなイタリアの名車・フィアット500に姿を変え、オリジナル仕様のオートジャイロは正に冒険モノにはうってつけの、少年心を限りなく高ぶらせてくれる飛行メカ。
ルパン愛用のワルサーP38こそ出番は少なかったが、対戦車ライフルや不二子のドイツ製ルガー、全てを切り裂く五右衛門の斬鉄剣は、見事にまたつまらないものまでしっかり斬ってくれる。
そんな絶妙なバランス感覚の中で大人も子供も魅せてくれる彼の躍動する様子が、少年から成長した今となっても、ルパンのカッコよさと爽快感をじんわりと感じさせてくれる。
ルパンとクラリス
しかし何度か見返していくと、ちょっと気になるトコロもある。
それはこのシリーズ上で本来ヒロインであったはずの不二子が、この映画版では少々影が薄く写ってしまっている事への違和感。
義賊意識を強め、より正義感の強いTV版宮崎ルパンは、お転婆で強欲な彼女をあらゆる状況から救い出す事で、根本的に憎めないお人好しな男の理想キャラをお茶の間に届けてくれていたはずだ。
ここら辺がこの劇場版作品をルパンであってルパンでないと称されてしまう所以だが、それは前述した原作小説への強い既視感があるからだろう。
クラリスが最後に呟く台詞は、小説では死別する事になってしまう亡き妻からのオマージュ。
つまりルパンとクラリスは、時を超え、幸せに結ばれなかったとしても、その愛情は永遠であったという・・・
公国貴族が持ち合わせる社会情勢の裏で暗躍するミステリアスなイメージも含め、弱腰な日本の警察機関が不二子率いるマスコミとの共闘作戦に踏み出す描写においても、その皮肉めいた社会へのアンチテーゼは実は作中にもしっかり滲ませている。
ラストのあまりにも有名な銭形の台詞は、クラリスだけに告げられたものではない。
そんな大人のカタルシスたっぷりに視聴者の心さえも奪ってしまった我らが愛すべきルパンは、銭形から逃げ続ける逃亡生活の果てに、永遠に手に入る事のない不二子だけを追い続けているからこそ、万人の男が憧れる自由の象徴であると確信している。
『ルパン三世 カリオストロの城』は
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