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ミネルヴァの梟は迫り来る黄昏に飛び立つ

【最恐ホラー映画特集③】狂気に憑りつかれた人間&サイコホラー10選《2018年保存版》

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 猟奇的な人の本能を覗き見る・・

お盆明けの微睡んだ日に観るホラー映画特集の第三弾です。

オカルトものや幽霊もの、SFホラー以上に怖いのはやっぱり人の狂気

『ウォーキングデッド』でも描かれてきた様に、私的には狂った人間ほど、怖いものは他にないと感じています。

そんな自分がこの夏の最後に紹介するホラー特集は、CGやVFX処理より、美術造形や俳優の演技力、或いは脚本のみで怖さを引き立たせているサイコホラー系映画。

往年のヒッチコック作品はレジェンド過ぎるのであえて外して、近代?の想像力を掻き立てられる秀作を集めてみました。

作品によってはパートナーや友人と観る事自体がタブーな映画もありますが、本当の恐怖を追求してみたい方は是非チャレンジを。

本当にコワイ最恐ゾンビ&オカルトホラー映画10選はコチラ
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背筋が凍りつくスリラー映画特集記事はコチラ

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❿『オーディション』(1999)/日本/115分

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 痛さとグロを極限まで追求した三池ワールド初のホラー

三池監督が数々のヤクザVシネで培ったグロを全て集約させたのがこの作品。

サイコホラーというよりはむしろ人間の心理的な嫌悪感を膨らませてくるこの映画で監督が追求したのは、なによりもその痛さ

後に『殺し屋1』等にも受け継がれていった痛覚を刺激する彼の美学を甘く見ているとちょっと後悔します。

ジョン・ランディスやロブ・ゾンビ等のホラー映画監督達を持ってしてでも彼らの目をそむけさせた三池監督の究極の悪癖を堪能する際には、食事や飲酒だけは絶対に控えて観賞する事を提案させてもらいます。

 

『オーディション』
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❾『ホステル』(2005)/アメリカ/93分

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 バックパッカーが迷い込む猟奇的な拷問部屋

これも痛い系のホラーですが、イーライ・ロスは更にそこに快楽を足してきます。

アムス独特の飾り窓やマリファナの快楽を貪るバックパッカー達が甘い誘惑に導かれていくという設定もかなりリアルで、誰しもが夢見る甘美な世界とその裏に潜む狂気を表裏一体で描いている事も中々秀逸。

監督がインスパイヤされた三池崇史本人が謎の東洋人に扮して東欧の美女が巣くう館にこっそり登場してくるのも実は見ドコロ。。

コロニアリズムに汚染された非モテ系男子の淫らな欲望がいつの間にか地獄絵図へと変貌を遂げていく様には、見ている側にとってはそれなりに痛快に感じるホラー映画かもしれません。

 

『ホステル』

TSUTAYA TVビデオマーケットNetflixAmazon Videoで観賞できます。 

❽『テキサス・チェーンソー』(2003)/アメリカ/97分

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 伝説の悪夢の再現

個人的にはこの映画の元となった75年の伝説のホラー『悪魔のいけにえ』にはそこまで馴染めなかったのでリブート版の紹介で。

この映画からシリーズ化された全ての作品を観たわけではないので何とも言えませんが、一番ストレートなスプラッター映画に感じます。

登場人物の台詞に無駄が少なく、狂人の狂気と哀愁を同時に感じさせてくれるトコロも上手い演出ですが、オリジナル版には登場しないロナルド・リー・アーメイ扮する保安官の存在がホラー映画にも関わらず作品に重厚感を与えています。

一見王道のホラーシチュエーションから始まる様で、アメリカの田舎町の暗部をさり気なく暴露しているのもポイント。

アメリカに実在した殺人鬼エド・ゲインの猟奇殺人事件を彷彿とさせる、曰くつきの問題作です。

 

『テキサス・チェーンソー』
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❼『インプリント~ぼっけえ、きょうてえ』(2006)/日本/63分

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 全米ケーブルテレビで放送禁止にされた衝撃作

・・三池崇史推しがちょっと強すぎるかもしれませんが・・・w

岩井志麻子の短編小説を元に作られたこのホラーは、ちょっと見る側の人間を選ぶ作品かもしれません。

奇形児、折檻、堕胎と正に放送コードに挑戦したとしか思えないくらいの凄惨な残虐シーンの数々で、日本での一般上映はもちろんのこと、制作元のアメリカケーブルテレビにでさえ放送を躊躇させた究極のホラーです。

ゴシックな怪談ものの語り口で始まりながら、浮世へ離れした女郎を集めた架空の島の艶やかさも見所。

『吉原炎上』を想起させるかのような女の悲哀物語も内包しながら、全編英語で演じている日本人俳優達の熱演が光ります。

工藤夕貴演じる主人公の女郎の父親役を演じた木下ほうかは、その醜態凄まじい変質者キャラを当時から存分に発揮しています。

 

『インプリント~ぼっけえ、きょうてえ』は
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❻『アンチクライスト』(2009)/デンマーク/104分

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 タブーの限界に挑戦。人間が生み出すカオス

強面キャラでお馴染みのウィレム・デフォーに、同情さえ覚えてしまう作品はこの映画くらいなんじゃないでしょうか?

『ダンサー・イン・ザ・ダーク』で一躍鬱映画界のトップバッターに躍り出たラース・フォン・トリアーの偏執性が遺憾なく発揮された怪作。

「世界一の大物映画監督と自称する監督による、女性嫌いの最たる作品」と非難される様に、性描写にかなりの悪意を持って描かれているこの映画の作風は進歩主義的な左派の家庭で生まれ育った監督の幼児体験からのリバウンドからなんでしょうか?

ニーチェやキリスト教精神を完全に皮肉り、本能のままに倒錯していく夫婦の在り方は正にカオス。

エンターテインメント性やストーリー構成は一切排除されていますが、唯々画面から広がる痛みと共に悪魔的な人間の本質を覗いてみたい方はチャレンジしてみてもいいかも。

カップルや夫婦での観賞は色々な角度から絶対禁止ですw

 

『アンチクライスト』
ビデオマーケットAmazon Videoで鑑賞できます。

❺『ミザリー』(1990)/アメリカ/108分

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 追い詰められていく恐怖。情熱が憎悪へと変わる時

監禁モノ映画の原点ともいえるこの作品の恐怖は、何と言ってもアニーを演じるキャシー・ベイツの怪演。

熱烈な愛情が段階を経て狂気へと変貌していく様相はサイコホラーの王道中の王道ですが、リアルな痛みと恐怖が伴います。

ストーカーの心理の原点を読み解く上でもかなり貴重な作品とも言えますが、主人公の小説家側の抱えた強迫観念を分析してみるのも楽しいかも。

因みに原作者のスティーブン・キングはこの映画の公開から20年の時を経て、

「アニーは私の薬物依存の象徴であり、私の身体に及ぼした影響を具現化した人物なんだ。自分は世界から断絶されたという孤独感、そしてそこから逃げようともがく苦しみのね」

と証言しています。

 

『ミザリー』
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❹『震える舌』(1980)/日本/114分

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 ホラータッチで描いた異色の医療ドラマ

ちょっとマイナーかもしれませんが。。

破傷風にかかった子供の闘病記を描いたこのドラマは、並大抵のホラーでは太刀打ちできない程のトラウマが貴方を襲います。

徐々に衰弱していく少女のあまりにも痛々しい迫真の演技は、ちょっと記憶から消せません。

オカルトでも狂人が出てくるわけでもないのに次第に心が塞ぎ込んでゆくあの感覚は、現実に起こりえる感染被害を包み隠さず懸命に描いているからでしょう。

陰湿な古い時代の日本の病院の様子にも、不気味な感覚を覚えます。

 

『震える舌』
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❸『羊たちの沈黙』(1991)/アメリカ/118分

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 歴史に名を刻んだサイコパス。羊に準えたトラウマ

正確に言うとこの作品はサイコサスペンスですが、アンソニー・ホプキンス演じるレクター博士のあまりに逸脱した存在感はホラーとしてももう申し分ないでしょう。

ホラー系の作品としては異例中の異例で、第64回アカデミー賞では主要5部門(最優秀作品賞・最優秀監督賞・最優秀主演男優賞・最優秀主演女優賞・最優秀脚色賞)を独占した規格外の名作であると共に、数々の映画やドラマにオマージュとして登場するレクター博士は、実は主演ではありません。

昨今のサスペンス業界ではすっかり定番になった主演のジョディ―フォスター演じる美人女性捜査官が抱えるトラウマもこの作品の見所の一つでしょう。

あまりにもインパクトの強い狂人犯罪者レクターは、彼女のアドバイザーとして登場するのですが、その天才的な頭脳とクラリスとの駆け引きは、正に映画史に刻まれる程の緊張感。

羊に準えたそれぞれの事件や過去の因果も含めて、その奥深いストーリー構成に想像を膨らますだけでも計り知れない恐怖に襲われます。

 

『羊たちの沈黙』
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❷『黒い家』(1999)/日本/118分

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 ブラックコメディの頂点。大竹しのぶの歴史を変えた渾身作

邦画界で人間の恐怖を描いた作品としてはこの映画の右に出る作品はありません。

キャッチコピーにもある「この人間には心がない」という宣伝文句通り、主人公の菰田幸子は本当にからっぽ

それまでそこそこの演技派で通っていた主人公を演じた大竹しのぶの印象は、この作品を期に大きく変わりました。

何気ない普段の表情から伺える空虚に満ちた彼女の目線は、善悪の区別のつかない赤子のようなあどけなさ。

しかしだからこそ彼女の心無い行動は心底怖く、途方もない虚脱感を覚えます。

この作品が上映された翌年に起きた和歌山毒物カレー事件の犯人・林 眞須美の瞳は、劇中の幸子のそれと全く同じで、純粋であるが故の救いようのない悪意そのもの。

徹底したサスペンス色を出しがちな森田芳光監督が原作の雰囲気を壊さずにそのまま尊重した事が、皮肉にも彼の最高傑作を生み出しました。

 

『黒い家』は
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❶『シャイニング』(1980)/アメリカ/119分

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 近代サイコホラー不沈の名作

天才・スタンリー・キューブリックの後世に名を残す名作です。

この作品だけはサイコホラーとしての恐怖だけでなく、歪なアート作品としても一つの時代を作ったと言える映画でしょう。

狂人と化していくジャック・ニコルソンの名演は言うに及ばず、ヒステリックな彼の妻、その息子が見る狂想、シンメトリーの双子幽霊の構図や奇抜な亡霊たち等、上げていったらきりがない程アタマを揺さぶられる異質なキャラクターのオンパレード。

雪深い呪いのホテルに閉じ込められた小説家の顛末というクローズドサークル系ミステリーの要素も保ちながら、ここまで混沌とした異世界を表現している作品は中々近年の映画には珍しく、ワンシーンにトラック132回を費やして取り直した監督の執念はギネス世界記録にも認定されています。

『時計じかけのオレンジ』でちょっと同監督が描く難解な内容についていけない方も、この映画の随所から醸し出される負のオーラだけは十分感じ取る事が出来るでしょう。

人間の怖さを極限まで描いたサイコホラーに留まらず、ラストの解釈にも様々な謎が残されているこの映画は、一般上映された119分版では描ききれなかった143分のロングバージョンが2018年8月現在、北米版のブルーレイでのみ(字幕ナシ)観る事が出来ますので、英語に自信ある方は是非チャレンジしてみてください。

 

『シャイニング』
以下のVODで観賞できます。

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