マリブのブログ

ミネルヴァの梟は迫り来る黄昏に飛び立つ

海外ドラマ『ウェントワース女子刑務所』シーズン6第12話の私的な感想―むき出しになる本性―(ネタバレあり)

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Wentwoth Season6-episode.12/2019~(オーストラリア)
製作総指揮:ジョー・ポーター
出演:ケイト・ジェンキンソン、リア・パーセル、スージー・ポーター、ラドウォイ・ヒック、ケイト・
アトキンソン他

 ウェントワースの陰り

いよいよ最終回を迎えたウェントワース。

ビーやフランキー、ついでにファーガソン等、キャラが立っていた登場人物が次々に退場し、フェードアウトしていきそうなこのドラマをそのまま見続けようと決めたのは、思い返せば、どこか魅力的な空気感を醸し出すリタの登場でした。

けれど、、、

前半はまだしも、後半に向かうに連れ、ビーやファーガソンの面影、或いはそこに遺恨を残す看守達にばかり焦点が行くようになり、肝心の女囚達の人物像の掘り下げがあまりに中途半端。。

 

闇深き女マリーが登場してからは、少しは盛り返すかと思ったのも束の間。。。

徐々に知能犯のわりには雑なミスが目立つようになり、往年の悪役達に立ち込めていた哀愁には遠く及ばず。。

 

アリーもファーガソンへの復讐を果たしてからは、一皮むけるかと思えど、逆に力が抜けてしまったのか凡ミスを連発し、うだつの上がらない女囚の一人に落ちぶれてしまう始末。。。

 

メインキャラに成長や変化が見られないと、どうしても視聴者は飽きてしまうのでそろそろこのドラマも潮時かな・・なんて思い始めてますが・・・

 

結局、それがウェントワースなんですよね。。。

 

志が高かろうが、目的があろうが、復讐に燃えていようが、この監獄に捕らわれた女達は、いつの間にかその陰りに飲み込まれてゆき、単純な衝動を抑えきれない犯罪者へと落ちぶれてゆく。。

 

なんだか日本社会の尺図の様な、這い上がれない弱者の現実を突きつけられている様で気が重くなっちゃいますが、それでもフランキーの様に、自らの力で自由と誇りを掴み取れる女が登場してくれる事を切に祈って、その最期を見届けます。。。

 

シーズン6第11話の感想はコチラ


以下、
『ウェントワース女子刑務所』シーズン6第12話のネタバレを含んだ上での感想です。

まだご覧になってない方はご注意下さい。

 

 

 

 

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 対峙

ファーガソンの死体遺棄の嫌疑が職員にかかり、捜査の手が入るウェントワース。
ヴェラは焦燥感の滲み出るジャクソンと怯えるジェイクを呼び出し、3人で対策を練ろうとする。。

 

リタはマリーの持つ裏情報と引き換えに、ブーマーの罪の取り下げとルビーの刑務所の移送を仲間の刑事達に要求。
困惑する彼らに、リタはルビーが実の妹である事を打ち明けるが・・

リタはマリーの部屋を物色し、データのありかを探し回るが見つけられず。。
アリーとの関係解消に苛立ちを募らせるルビーは、ファイトクラブへの参戦をコスタに再び要求。
ザラは復讐の炎を滾らせ、そんなルビーを遠くから見つめている。。。

 

カズから乱闘の詳細を聴いたヴェラは、マリーの本性を垣間見る。
ヴェラはカズのトップドッグの地位を支持する事を表明し、彼女を一般房へ戻す事を決定。
リズの元へやってきたザラは、世話係としての彼女に独房にいるマリーへの伝言を託すが・・
ジャクソンからリタの動向を知ったマリーは、自分達の中に潜むスパイが彼女である事をいよいよ確信する。。

仮釈放の決定をヴェラから告げられ、喜びを露わにするブーマー。
そんな彼女の心境とは裏腹に、ヴェラは脅迫メールを送ってくる相手と対峙する事を決断。
真夜中、彼女の家の玄関にやってきたのは、ビーの脱獄幇助の罪を被せられ解雇された元看守のマーフィーの姿だった。。

コスタからルビーがファイトクラブへ参戦する事を知ったザラは、その対戦相手に名乗りを上げる。
警察の捜査に怯え、ジャクソンから監視カメラ映像を削除した事を知らされるヴェラ。
ザラにおびき出され厨房に閉じ込められたリタは、彼女がいよいよルビーに照準を合わせ、復讐を誓っている事を知る事になるが・・

ルビーが気がかりなアリーは、リズからファイトクラブで再戦する彼女の事を知らされ所内を捜索。
やがて閉じ込められていたリタを見つけ彼女を開放すると、リタはとうとう自分が潜入捜査官である事をルビーに明かし、リタはルビーの代わりにザラと対峙する決意を固め・・

 

警察の取り調べによって、追い詰められるヴェラとジェイク。
二人は互い共、ジャクソンに掛けられた嫌疑を守り抜くが、ジャクソンは一転、警察に全てを自供する覚悟を決める。
しかし、ヴェラの元へと金を受け取りに来たマーフィーを、彼女をはっていたチャニングがファーガソンと信じ込み撃ち殺してしまい・・

壮絶な死闘を繰り広げるザラとリタ。
やがてザラを追い詰めてゆくリタだったが、彼女の内に残り続けるルビーへの復讐心を知った時、、、

リタは意識の無くなったザラに、握り締めた拳を緩める事なく殴り殺す。。

 

それを止めに入ろうとしたヴェラは階段で横転。
やがて彼女の運び込まれた先の病院に駆けつけてきたジェイクは、そこで彼女のお腹の中に自分の子が宿っている事を遂に知ってしまう。。

ヴェラの家に金を受け取りに来たマーフィーは、チャニングがファーガソンと思い込み射殺。。
その事実を電話で知ったジェイクは、彼に罪を被せる事を計画し、チャニングのガレージにファーガソンの生き埋めに使ったシャベルを隠す。。。

 

ヴェラはファーガソンの殺害容疑でも逮捕されてゆくチャニングの様子を、自宅のテレビから見つめている。
そこへやってくるジェイクとジャクソン。。

リズはザラから託された手紙の相手を思い出す事が出来ず、それを箱にしまいこむ。
そこには、マリーにルビーが息子を殺した犯人である事を記したザラからのメッセージが綴られているのだが・・・

同僚の刑事からも見放され、独房へと連れて行かれるリタ。
警察官の肩書をも失った彼女に向けて、監房越しのマリーは裏情報のデータが詰まったチップを破壊する。

リタの顔は、徐に怒りの形相へと変化してゆき・・・ 

 

 

 

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 ・・晴れて?女囚と化したリタとマリーの対決姿勢を色濃く残した最終回でした。

・・でも、シーズンを丸々使って二人の前生譚をやるには、あまりに内容が薄くて。。。

ついでに、ヴェラ達を脅してた犯人がマーフィーって、ちょっと弱すぎませんか・・?


ビーとファーガソンの決闘に協力したヴェラに罪を着せられ恨みを抱いていたとしても、彼女がファーガソンの抹殺までをも知る由もなく、仮にヴェラの秘密を常時探っていたのだとしたら、スーパーの警備員にしてはあまりにヒマ過ぎ。。

・・コレ、裏読みしちゃうと、ヴェラに恨みを抱くような脚本を先に作ってから、マキシン役のソクラティス・オットーあたりに再出演を断られて、仕方なくキャスティングしたくらいにしか感じられません。。

 

潜入捜査官としての職務よりも、妹の安否を気にかけていたリタの本音だけはしっかり伝わってきましたが、いくら腕っぷしが強くても只の女囚に成り下がった彼女が、マリーとトップドッグの座を争ったとしても、イマイチ盛り上がらないような。。

結局、リタとルビーの過去の因果も全然説明不足なので、どうしてもここの感情移入が上手く出来なくて。。。

 

それよりも・・、

 

やっぱりオイシイところをかっさらっていくのはヴェラ。。

彼女が中絶薬を口にふくむ描写がミスリードだった事は全く読めませんでしたが、それでもなんだかちょっと嬉しく思えてしまっています。

しかも、ジェイクに頼らず、一人で子供を育てていこうなんて・・・

 

途中参加の女囚達が分かり易く身を滅ぼしていく中、それに反比例するかの様に、一番の成長を感じられるのはやっぱり彼女だけだな。。

それがジェイクの贖罪の意識とジャクソンの弱さのおかげで、支えられていたとしても。。

 

結局、ブーマーの台詞通り、

「時々、自分が世界から取り残されている気がする」

女囚達には、明るい未来は永遠に訪れないんでしょうか?

マリーとジャクソンとの関係を知ってしまうカズの落胆ぶりに一番気が行ってしまい、次のシーズンに手が出せるかかなり不安を感じてしまう、儚いラストでした。。。

シーズン7の感想と紹介記事はコチラ

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『ウェントワース女子刑務所』
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