マリブのブログ

ミネルヴァの梟は迫り来る黄昏に飛び立つ

Netflix『13の理由』シーズン3第12話の私的な感想―ザックの告白―(ネタバレあり)

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13 Reasons Why Season3 Episode12/2019~(アメリカ)
製作総指揮:セレーナ・ゴメス
出演:ディラン・ミネット、ジャスティン・プレンティス、アリーシャ・ボー、デレク・ルーク、グレース・サイフ、ブレンダ・ストロング他

 憎しみが生みだすもの

泣いても笑っても残りあと2話。。

口下手な演出と、視聴ターゲット層を完全に見誤った予告編のおかげで、クレームも多数寄せられてる今回のシーズン3は、私的にはそれでも『ビバリー・ヒルズ』や『ゴシップ・ガール』なんかを遥かに凌ぐ、歴代最高傑作の青春ドラマだと信じています!

 

・・そんな前振りをさせてもらった上で、、

どうしても気になっちゃうのが、前回のジェシカのヘイトデモ。。

・・アレ、やっぱりどうしてもいるのかなぁ。。。

 

先日、スラップ訴訟というものを初めて知りました。

 

スラップ訴訟
ある程度の発言力や社会的影響力のある、社会的に優位といえる立場の者が、特に発言力や影響力を持たない相対的弱者を相手取り訴訟を起こすこと。強者が弱者に対して訴訟をしかけることで、半ば社会的な恫喝あるいは報復として機能する。
Weblio辞書より抜粋


少し見方を変えると、、

弱者だったはずのジェシカが、生徒会長の就任を経て仲間が増えると共に、その発言権を増していった今じゃ、まさにこの予備軍そっくり。。。

彼女のデモの成果は散々たるもので、性被害者が性をアピールし、更に性的なハラスメントを受けて、愛する者の怒りの導火線に火を点けるという。。。

その上、ザックは大怪我まで負い、ブライスは何者かに殺されるという散々なおまけつき。。。。

 

トランプ就任以降、先日のテキサス州銃乱射事件にも代表される様に、アメリカは軒並みヘイトクライムやヘイトデモが増加傾向にありますが、クレイがタイラーを嘘でも救った瞬間から、このドラマは過ちを犯した者を憎むのではなく、寄り添ってみる事をテーマに添えてきたはずなので、そこに見せてくれるを、最期まで忘れないでいておいてほしいな。。。

 

シーズン3第11話の感想はコチラ

 

以下、『13の理由』シーズン3第12話のネタバレを含んだ上での感想です。

まだご覧になってない方はご注意下さい。

 

 

 

 

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 夢のいきさつ

ケイレブの家に匿われたクレイは、トニーの身を案ずる二人の会話に、聴き耳をそばだてている。
鞄を抱えたクレイはアニの元へ。。
彼は、真摯にアニの身を案じ、二人は別れのキスをする。。。

ジャスティンからの連絡で、クレイの失踪を知るザック。
その様子をモンティーに詮索されながらも、彼は動揺が隠し切れない。
クレイから直接連絡を受けたタイラーは、全校集会を控えるその心細さを彼に伝える。

ホームカミングゲームが中止された件について、リバティー、ヒルクレスト両校の生徒が集まる全体ミーティング。
校長は、その後起こったブライスの死を偲び、騒動の発起人となったジェシカが壇上に立つ。。

彼女は、レイプ被害で失くしたものを、もう一度どう拾い上げるのかを熱弁する。

その力強い言葉に後押しされ、次々と立ち上がるレイプ被害を受けた生徒達。。
やがて、ひっそりとその体育館に入ってきたクレイの姿を見つけると、タイラーは勇気を振り絞り、男子として最初に立ち上がる。
その勇敢さにうたれ、次々と立ち上がる生徒達の中には、ジャスティンの姿も。。

それぞれがカミングアウトした者の心情を慮り、打ち解け合っていく生徒達。
しかしそんな飽和した空気も束の間、やがて逮捕状を持った保安官達が体育館に入ってくる。
クレイを庇おうとするジャスティン。それを制止するジェシカ。
呆然と立ち尽くしているタイラーを尻目に、クレイはとうとう連行されていく・・・

 

クレイにかけられた嫌疑に確信を持てないアレックスの父親は、ノラの元へ。
彼女は、少ない友人しか残っていなかったブライスの侘しい様子を語り、ホームカミングゲーム当日の日に過ごした、息子との最後の時間を思い出す。。

 

フットボールの練習後、何気なくノラのヨガ教室にやってくるブライス。
彼は、母親に導かれストレッチをしていると、突然、訳もなく涙が溢れてくる。。

 

取調室のクレイの元へ、彼の部屋で見つかったステロイドを持ってくるアレックスの父親。
彼は、クレイがそれを預かった相手の事を、固くなに庇う様子を眺め・・

 

タイラーの元へやってきたモンティーの友人チャーリーは、全校集会での彼の勇気に突き動かされ、モンティーの通報を提案するも・・

アメフト部の主将の座を降りる事を決意するザック。。
コーチはそれを必死に止めるも、彼のその固い意志は覆らず。。。

 

警察署でクレイを待つジャスティンは、ジェシカにその幼少期のレイプ体験を告白。
彼女は、被害者でありながらも、加害者側の立場で自分を支えてくれたジャスティンに酷く感銘を受け、二人は改めて固く愛を誓いあう。

保安官にブライスとの対立理由を聞かれたクレイは、その夜の事を思い返す。。

トニーとケイレブと共に、試合観戦をしているクレイ。
すると見かけたアニの行方が気にかかり、クレイがその後をつけていくと・・
二人が、こっそりキスを交わす現場を目撃してしまったクレイは激しく逆上。
やがてジェシカ達のハンズ・オフ・デモの騒動が始まると、そのどさくさに紛れ、ブライスに復讐へと向かうが、ジャスティンに制止されてしまう。。

・・その日の夜、ブライスの家の前で、憎しみを滾らしているクレイ。
そして、その怒りに任せた罵詈雑言に溢れたメッセージを、ブライスに送りつける。

 

・・誰もいない校内のジムに、アレックスを呼び出すザック。
そこで彼はアレックスに、ブライスの殺害を告白する。。。。

 

秘密と嘘によって親子関係が冷めきったアニは、その本音を母親に吐き出す。。
彼女は、誰も信じずに生きてきた母親の姿勢を強く否定し、家を飛び出していく・・

 

息子の部屋から、出所のわからないステロイドを発見したアレックスの父親は、出頭してきたザックの元へと向かう。。
やがてザックは、覚悟を決め、事件当日の夜の出来事を語り始める。。。

 

フィールドに向かう廊下で、ザックを応援しにやってくるクロエ。
その仲睦まじい様子を陰から見つけたブライスは、彼女に精一杯の誠意を示しながら声をかけるも、彼女から自分の子を堕ろしていた事実を聞かされてしまう。。
それでも必死に労りの言葉をかけようとするブライスに、クロエは突き放す様に、心の支えになっていたザックの存在を語り・・

・・裏切られた親友ザックに、異常な迄の嫉妬心を露わにするブライス。
やがて彼は、ジェシカのデモをキッカケに始まった乱闘に紛れ、油断していたザックの膝にめがけ、強烈なタックルを決める・・・

 

・・ナーバスになりながら震えるザックに、アレックスの父は気遣いを示すも・・・

ジェシカ、ジャスティン、そしてチャーリーに付き添われたタイラーは、警察署でモンティーのレイプ事件を、自らの口で告白する。。

・・ブライスの乗ったバスを追って、埠頭へとやってくるザック。。
彼は誰かと待ち合わせをしていたブライスを一方的に殴りつけ、その携帯を海に投げ捨てる。。。

 

暴行の自供を終え高揚しているザックを横目に、保安官達は互いの顔を見詰め合う。
アレックスの父親は、選手生命を絶たれたその彼の蛮行の理由に一定の理解を示し、彼にブライスの死因が溺死だった事を告げる・・・

 

拘置所の中で、想いを巡らすクレイ。
コカインを燻らしているジャスティン。
きつめのバーボンを飲み干すトニー。

モンティーは、暴行とブライスの殺害容疑で警察に連行されてゆき・・

 

・・ザックの去っていったふ頭では、ボロボロの体で倒れ込むブライスの前に、やってくる何者かの足元が写る・・・・
 

 

 

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 ・・最後の最後で、あまりに切ない展開。。。


まさか、ギブスまではめて歩く事もままならなかったザックが、あそこまでブライスをめちゃくちゃに殴り倒していたとは・・

スポーツ推薦の奨学金で大学進学を目指していたザックにとっては、運動部が全て。。

その望みを絶たれた男のあまりに激しい憤りに驚くと共に、学園の頂点に立っているはずのジョックスが抱える闇も、ちょっと垣間見えた様な気がしてます。

 

ブライスは自業自得とは言え、そのクロエに対する真摯な態度や、アニへの気遣い等、随分更生の道が見えてきたはずなのに・・・

 

・・きっと、それは彼が母親の前で初めて号泣できた時から、その何かが変わっていったのでしょう。。。

それでも彼を再び闇に引きずりこむ問題は、、、

最早、ジョックスのさだめと言ってもいいような、女とマチズム。。。

・・まあ、十代の頃にヒートアップしてしまう原因は、大抵この二つが原因です。

ロッカールームでのザックのスピーチを思い返してみても、そこには、明らかにブライスへの対抗意識と劣等感の入り混じった複雑な感情が滲み出てますし。。

男である以上、このしがらみからは解放される日は永遠にこないとしても、暴走する怒りが巻き起こす悲劇については、ちょっと、自分も今一度考えを改めた方がいいかもしれない。。。

 

まるで、憎しみによって殺されたようなブライスの末路は、あろうことか溺死である事が判明しましたが、無言のうちに、情状酌量の余地を鑑みてくれた保安官達の賢明な判断は、ため息が漏れてしまいそう。

・・まあこれも、現実には証拠だけでしか犯罪を立件できない警察への皮肉でしょうけど。。

 

これまで、あまりにもウザく感じたアニのナレーションも、

誰も信用できないようなオトナにはなりたくない

なんて母親に洩らし始めた事から考えれば、その揺れ動く多感な時期の女心を、冷酷なまでにフラットで見る事を促し続けてきた彼女の母親にも、その責任の一端があるような気がしてきます。

 

・・やっぱり臆病でいる事は、周り回って、誰かを少なからず、確実に傷つけていくんでしょうか?

 

シーズン3最終話の感想はコチラ

www.mariblog.jp

 

『13の理由』Netflixで観賞できます。 

www.netflix.co

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