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Netflixドラマ『13の理由』シーズン2第12話の私的な感想―ジャスティンの友情―(ネタバレあり)

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13 Reasons Why Season2 Episode12/2018~(アメリカ)
製作総指揮:セレーナ・ゴメス
出演:キャサリン・ラングフォード、ディラン・ミネット、ジャスティン・プレンティス、アリーシャ・ボー、デレク・ルーク、ケイト・ウォルシュ

 それぞれの闇

生徒たちに広がるがどんどん浮き彫りになってきました。

マーカスを脅していたのはサイラスとタイラー

クレイにポラロイド写真を送り付けていたのはザック

ジェシカに嫌がらせをしていたのはクロエ

もう、学校中の誰かが誰かに嫉妬や嫉み、或いは危険信号を送っています。

この人には言えない、心の弱さからくる憎悪の火種は周りが無視し続けている限り、永遠になくなる事はありません。

 

前回のブライス達の回では、それぞれの回想やハンナの幻覚だけでなくブライスの幻想シーンまで同じトーンで描写し始めたので流石にちょっと難解でした。

しかしこれも、現実と架空とがあやふやな十代の虚ろな世界を描いているからこその演出と思って見てみると、中々奥深いストーリーです。

ブライスの保身を肯定する事などもう誰にも出来ないかもしれませんが、言ってしまえば彼もまた、上辺だけの嘘で塗り固められた社会の犠牲者。。

今となってみれば、シーズン1の初めの頃ブライスがジャスティンに言っていた、

「お前たちの事は守ってやる。俺に危害を加えない限りは。」

という台詞に、他人の痛みに鈍くなった個人主義者達の矛盾をじんわり感じてきます。

 シーズン2第11話の感想はコチラ
 

以下、『13の理由』シーズン2第12のネタバレを含んだ上での感想です。

まだご覧になってない方はご注意下さい。



 



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 写真が入った箱

子供時代のブライスとジャスティン。。
貧乏ないじめられっ子だったジャスティンに、さり気なく手を差し伸べるブライス。
あくまでも対等に付き合おうとするブライスにジャスティンは微かな親しみを感じていく・・

前回のラストシーン。
ブライスの家前で銃を手に激しく困惑するクレイを宥めるジャスティン。
彼はクレイを諭し、ブライスに向けられた銃口を下ろさせる。

意味深なメールを受けとったザックは、早朝、アレックスの家に駆けつける。
記憶が戻ったアレックスはザックにハンナがレイプにあった日の真相を打ち明ける。

学校での大乱闘のまま、傷だらけで帰ってくるクレイ達の身を案じる両親。
クレイの母親は証言をする事を決めたジャスティンに、内密の忠告をする。

 

蟠りを持ち続けるクレイは幻覚のハンナに、彼女が自分の前に存在し続けるその真意を問う。
力なく微笑むハンナは、「クレイの許しがほしい」と返答・・・。

 

15番目に法廷に立ったジャスティンはハンナとの過去を振り返る。
彼は初デートの夜、怒鳴り声が響く実家を抜け出し、ハンナの家に逃げ込んだ日の事を思い返す。
疲れ切った様子で直ぐに眠りについてしまうジャスティンを、優しく受け入れるハンナ。。

やがてジャスティンは、親友と彼女の両方失う事が怖くてブライスのレイプを止められなかった事を裁判所で告解。
そして自分が撮ったハンナのパンチラ写真は、ブライスが嫉みから拡散させたと主張。
更にブライスが証言したハンナとの関係を真っ向から否定するが、学校側の弁護士は、彼の発言はブライスと浮気したジェシカに対する嫉妬からくる嘘だと主張。。
ジャスティンが薬物中毒な事実も暴露され、彼の証言は闇に葬られる。

タイラーの倒錯していく思考は日増しに強まっていき、彼を不気味がりだしたサイラスはあからさまにタイラーと距離を置くようになる。。。

 

 ・・ネクタイを締められないジャスティンを手伝うクレイの様子はまるでもう本当の兄弟の様で微笑ましい光景でした。

クレイが銃を持っていた事を親に秘密にし、彼を諭すジャスティンの様子にもどこか微笑ましいものを感じます。

クレイの暴走を止め、一見彼との友情を深めたように見えるジャスティンですが、彼は同時に、幼い頃からの親友だったブライスの命も救おうとしています。

冒頭の幼少期のシーンから垣間見えるように、彼らが一度感じた友情は永遠

再度街を出ようとしていたジャスティンが踏みとどまったのも、思い返せばクレイが彼を対等に人として必要とした時からだったのでしょう。

 

デニスの最終陳述。
彼は陪審員の前でハンナに起こった悲劇を語り出す。
・・それは、悩める乙女の細やかな過ち。。
彼女の幼気な無力さと学校の生徒たちへの無関心さを切々と陪審員に説くが、学校側の弁護士はハンナが誰にも助けを求めなかった事実を主張。
更には彼女の家庭事情、自尊心の低さ、精神疾患の可能性まで取り上げ、最終的にはオリヴィア達の親の過失を指摘し裁判は閉廷する。。

高校ではタイラーがネットにUPした写真を理由に、校長が彼に罰として更生プログラムを受けさせる事を決定。
タイラーは運動部の生徒たちの横暴さを必死に訴えるが、保守的な大人達の耳には届かない。。

クラブハウスでの乱交写真の流出に怯えるブライスは、野球部のチームメイトに連帯責任を示唆する。

運動部のたまり場では、いよいよスコットとモンティーは対立
ブライスの恐怖政治に恐れを抱いたスコットは彼を裏切ろうとするが、他に行き場のないモンティーは激しく反論。
そこへ彼らの居場所を突き止めたクレイ、ジャスティン、ザック、アレックス、トニー達が現れ、奪われた写真のありかを問い質す。
やがてアレックスは、モンティー自らが自分に送り付けてきた拳銃を取り出し、彼を追い詰めていく。。

裁判での証言内容を校長に問題視されたポーターは、とうとう即日解雇
彼は校長に自分の最後の仕事として、校内の要注意人物のファイルを託すが彼は目に入れない。
そのファイルの一番上には、更生プログラムに送られたタイラーの写真が・・・

 

 ・・数々の証言台に立った生徒たちへの妨害工作が、全てモンティーの仕業だった事が判明しました。

ちよっとここら辺の伏線の回収が勇み足だった気もしますが・・

しかし、モンティー自身も彼の発言から劣悪な家庭環境に身を置く生徒の様です。

 

・・ハンナが徐々に追い詰められていった様に、彼らの弱さから生じた悪意もまた切迫していきます。

 

学校側に唯一正義を貫いていたポーターまで解雇され、グラウンドにしか居場所のなかったモンティーや闇に葬られたタイラーの怒りが、このまま収まっていくとは到底思えません。。

・・でも、ポラロイド写真を盗んだ犯人が彼らでないとすると、残るは・・・

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ジャスティンの決死の証言が否定され、憤りを感じるジェシカ。
そこへモンティーに逃げ出されてしまったアレックス達が訪問。
彼らは自分たちの失敗を謝り、ジェシカの覚悟を待つ事を決断。
クレイ、トニー、ザック、ジャスティン、更にはライアンとコートニーまでがジェシカを支える事を決め、彼女に優しく微笑む。
友情で結ばれたに、徐々に勇気を取り戻していくジェシカ。。

不安に陥ったブライスは、初めてクロエに自分の弱さを見せ始める。

暗闇に包まれた部屋で一人、窓の外を見詰めているタイラー。。

・・警察署でようやくレイプ事件を供述しだすジャスティンとジェシカ。
ふたりの側にはクレイたちがしっかり寄り添っている。。

 

そして、彼らは判決の朝を迎える。。。

 

オリヴィアの様子が気がかりで、彼女の店の片づけをしていたトニーは、棚の奥からハンナのニット帽を見つける。
潤んだ瞳でそれを抱きしめるオリヴィア。

ハンナとバイトしていた映画館で一人、ゾンビ映画を眺めているクレイ。
幻覚のハンナがやってきて、彼の横に座る。。

不安を隠し切れないアレックスの手を強く握りしめるジェシカ。。。

 

・・しかし、判決は、

 

陪審員の判断は、オリヴィア達の求刑に対し無罪を評決。。。

 

力尽き深く肩を落とす彼女達だったが、裁判所を出たところで待ち構えていた警官達によって、ブライスはようやく婦女暴行罪で逮捕される。。

ジェシカに暴言を吐き捨て連行されていく彼の横で、警察はジャスティンも共犯者として連れ去っていく・・

騒然とする一同。

 

・・ジェシカの厳格な父親が憤りを抑えジャスティンに、その彼の勇気を称える描写はとても感動的でした。

更にクレイの観ていたゾンビ映画で幻覚のハンナが、伝えられなかったクレイに対する愛情を比喩する描写はかなり秀逸。

 

しかし、、

 

裁判の結果は読者の方同様、おおよその予想はついていましたが、まさかジャスティンまでもが逮捕されてしまうとは・・・

クレイの母親の忠告を聴いた上での彼の決意には、本当に心が震えます。

 

・・救われていく思いと、報われない思いが絶妙に交差していく中、彼らの揺るぎない友情が必ず実を結ぶ事だけを強く祈り、最終回を迎えたいと思います。

シーズン2最終話の感想はコチラ

 

『13の理由』Netflixで観賞できます。 

www.netflix.com

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