マリブのブログ

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Netflixドラマ『13の理由』シーズン2第4話の私的な感想―マーカスの作戦―(ネタバレあり)

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13 Reasons Why Season2 Episode4/2018~(アメリカ)
製作総指揮:セレーナ・ゴメス
出演:キャサリン・ラングフォード、ディラン・ミネット、ジャスティン・プレンティス、アリーシャ・ボー、ロス・バトラー、マイルズ・ハイザー

 大人たちの秘められた真実

『13の理由』のシーズン2では、ハンナの回りの大人たちの心情もより鮮明に描かれていくようになりました。

裁判所での戦いで次々と明るみに出るハンナの十代らしい数々の未熟な行動によって世間に誤解を生まぬ様、母親のオリヴィアはメディアに彼女の秘めた優しさを必死に訴えかけます。

 

そしてもう一つ、、

 

前回のエピソードで、ハンナの父親の浮気が発覚してしまいました。。

更にその事実をオリヴィアより先にハンナだけが知っていた事を想像すると・・

 

後付けでしょうが、この事実をテープには入れずひたすら抱えていたという彼女の設定には、その闇の奥深さが更に増幅される上手い構成な気がします。

 

自殺した人間から始まり、残された人間たちの間で新たに生まれる悲劇。。

リアルな人間描写と止まらない負の連鎖が、一味違った秀逸なサスペンス色をより一層深めていきます。


シーズン2第3話の感想はコチラ
 

以下『13の理由』シーズン2第3話のネタバレを含んだ上での感想です。

まだご覧になってない方はご注意下さい。



 



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 2枚目の写真

ジャスティンの面倒を親の目を盗み自宅で見始めるクレイ。
それは路上生活で汚れた服の洗濯から、ヘロインの抜かせ方まで彼にとっては初めての経験。。
たまらずトニーに相談したクレイだったが、保護観察中の彼に代わりクレイの家にやってきたのはハンナへの罪悪感を未だ持ち続けているシェリ。。。

ザックはブライスに不信感を感じ少しずつ距離置き始め、ジェシカもまたクロエの無神経な言動に苛立ちを募らせていく。
ジェシカはザックから車を借り、アレックスと一緒に気分転換の映画館デート。
少しずつ記憶を取り戻していくアレックスは、自分が友情を裏切られて傷ついていたハンナに後ろめたさを感じていた事を思い出す。

親の顔色を窺いながら4人目に法廷に立つ証言者はマーカス。
彼は巧妙に自分の幼い嫉妬を認めハンナへの悪いゴシップを流した事実は認めるが、ハンナが自分を利用してブライスに近づこうとしていたと主張。

クレイのロッカーには、再び謎の密告者からのポラロイド写真。
そこには、見知らぬ場所で女子を犯しているブライスの後姿が写っている。。。

 

 ・・ヘロイン中毒のジャスティンを離脱させる描写が妙に生々しかったです。

流石に親に内緒でという設定にはちょっと無理がある気もしますが、戸惑いながらもハンナを軸に結ばれていく友情の連鎖は少し微笑ましい光景でした。

クリントンとヒラリーに例え上手く世の中を渡っていこうとするマーカスのあざとい発想には、思春期の男子ならではの照れ隠しと背伸びが垣間見えます。

そしてそんな稚拙な少年の思惑に利用される夢見がちなハンナの虚しさ。。

そして二枚目のブライスの写真の裏に書かれていた言葉、

「彼は止まらない」

から察すると、どうもこの密告者はクレイにどこかで救いを求めているような気もしてきますね。。

 

自発的な家庭訪問を始めていたポーターは、係争中の裁判に過敏になっている校長から釘を刺される。
マーカスの証言に、ハンナの本性に疑いを持ち始めたクレイは再び困惑する。

ハンナの自殺以降夫と別居していたオリヴィアは、彼の前向きな言葉にも耳を課せず二人の溝は更に広がっていく。
ハンナが自分に気を使い、ハンナ自身の悩みを打ち明けられずにいた事実を認め、オリヴィアは彼女の優しさに深く胸を痛める。。

マーカスの嘘の証言に怒りを感じていたタイラーとサイラスは、密かに復讐を決行。
時限式に噴射するペンキ爆弾を彼の車の脇に仕掛け、そのバックウィンドウには”偽善者”と書かれた落書き。
初めて爽快感を感じたタイラーが次に興味を示していくのは実弾による射撃。。。

記憶を取り戻したいアレックスと記憶を消したいジェシカは、お互いにかけているモノを補い合うかのように、再びその距離を縮めていく。
ふたりはとうとう浜辺でキスまでするが、ジェシカのトラウマは消えず。。
彼女の心に未だジャスティンへの思いが残っている事を感じ取ったアレックスは、切なげに去って行く彼女の背中を見送る。。。

 

 ・・十代の些細な苦悩が、大人たちへと伝染していく様子がたまりません。

前回のシーズンでは逃げ腰に見えたポーターも、人が変わったかのように生徒たちと関わろうと動き回ります。

・・まるで自分が犯した罪を償うかのように・・・

クレイの幻覚、タイラーの危うさ、アレックスのジェシカを思い続ける切ない気持ちに共通してるのは弱気な心

しかし、そんな未熟な彼らのすぐ手が届く場所にがある事に、どうしても不安を覚えてしまいます。

 

ポーターは、敬虔深い家庭に育ったマーカスの奥底に眠る正義感に訴えかけていく。
為政者の如く振舞ってきたブライスは、ザックに賄賂を贈り、クロエを屈服させ、その帝王学を貫き通そうとする。

現実と理想とのギャップに挫けそうになるオリヴィアの側に寄り添うのはトニー。
どうしてもブライスのレイプを明るみにしたいオリヴィアにトニーは、もう一人の証言者であるジャスティンの情報を伝える。。

自身を喪失していたアレックスは、クレイに再びテープの内容を聴かせてもらう様懇願し、自分の知る真実に不安を覚え始めたクレイは、遂にテープの音声データを彼のもとへと送る。。。

 

 ・・それぞれの証言者から語られるハンナの意外な一面、そのあどけなさ、更に生徒たちが創り上げるハンナの虚像とが絡み合い、彼女の真実がどんどん不透明になっていきます。

揺れ動くクレイの視点で描いたこの表現方法は、大人にとっては少し解釈が難しい場面も多いですが、正にそれこそが十代の目線なのでしょう。

ラストで思い悩むクレイにハンナの幻覚が言う台詞、

「全てに別の側面があり、私の話にも別の事実がある」

この言葉に今回のエピソードの全てが凝縮されています。

 

更に、、

 

自分たちの日々の日常で起こる誤解や、社会通念的なモノの見方に対してもこの台詞は何か大切な事を気付かさせてくれているような・・・

それでも最終的には、ハンナが励ましてくれるように、

「自分を信じる」

事しか自分たちにはできないのかもしれませんが・・

シーズン2第5話の感想はコチラ


『13の理由』
Netflixで観賞できます。 

www.netflix.com

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