13 Reasons Why Season2 Episode8/2018~(アメリカ)
製作総指揮:セレーナ・ゴメス
出演:キャサリン・ラングフォード、ディラン・ミネット、ジャスティン・プレンティス、アリーシャ・ボー、ロス・バトラー、マイルズ・ハイザー他
アメリカの高校生の実態
前回のドラッグパーティーのストーリーは中々見物でした。
高校生の青春ドラマであの手のシーンを描く作品はあまりないような気がします。
ハッパを吸うシーンまではさすがにカットしたようですが、あの高揚感と浮遊感をナチュラルに表現したキャサリン・ラングフォードは、若手にしては随分勘のいい芝居をしています。
ただちょっとやり過ぎに感じたのは、パーティーの翌日にハンナたちが感じる絶望感。
ドラッグ乱用防止の為の啓発とハンナが吐露する自殺願望をストーリー上どうしても折り込みたかったのでしょうが、あまり意図的にそれをしすぎると逆に現実味が失われてしまいます。
対照的にリアルだったのは、アレックスの誕生日パーティー。
日本人には考えられないかもしれませんが、アメリカの高校生はよくゲーセン、ボーリング場、プール等を時間制で貸し切って誕生日会をやります。
まあ、基本的にスポイルされている富裕層の家庭の子の場合が多いのですが、アレックスの社会復帰を願う親の目線からすれば十分あり得る話です。
クレイがすっかり家庭に溶け込んでいる様子のジャスティンを見て、少し嫉妬をしているのも可愛らしかったですね。
この一見幼そうで、ドラッグや銃等の命の危険性と常に隣り合わせにいるのがアメリカのティーンエイジャーの実態です。
すべてが守られ過ぎている日本人と違って、彼らはそれらを若い時から自分の責任で判断し対処していかなければなりません。
あからさまに歪んだ方向へ傾倒していくタイラーにも、少し彼に気がありそうなサイラスの妹・マッケンジーがうまく救ってあげられればいいのですが・・・
以下『13の理由』シーズン2第8話のネタバレを含んだ上での感想です。
まだご覧になってない方はご注意下さい。
我が愛しき娘
8人目に法廷に立つのはハンナの父親・アンディ。
赤子の頃のハンナの写真を見詰め、オリヴィアと涙を流す。。
久しぶりにクレイと共にリバティ高校に復帰するジャスティン。
しかし校内はクレイが流出させたハンナのテープの話題で騒然としている。
クレイに自分たちの置かれた状況を伝えるシェリ。警笛を鳴らすハンナ。
進学への不安を漏らすマーカスを冷静に諭すコートニー。
怯えるジェシカの側にはアレックス。
“レイプ魔”とロッカーに落書きされたブライスにも流石に焦りの色が見え初め、思わずザックに詰め寄る。。
戸惑いを隠し切れないクロエは、女子トイレでジェシカと遭遇。
二人は会話もなくそのままクロエは立ち去るが、個室に落書きされていたジェシカの中傷は消され、代わりに、
「ハンナはウソつき」
と書かれた文字が・・
ジャスティンは、ブライスに犯されたジェシカと電話をした日の事を回想しつつ、彼にいよいよ宣戦布告をする。。。
・・リバティ高校が大きく揺らいでいきます。
4分54秒の長回しで彼らの戸惑いをリアルタイムに表現している様は実に見事です。
特に、クロエ、ジェシカ、ジャスティンらの演技は優秀。
逃げられない現実とそれに立ち向かおうとする勇気を、少ない台詞の中で非常にうまく表しています。
・・部室に閉じ込められていたタイラーを救い出すマッケンジーの優しさだけは、ちょっとよく理解出来ませんでしたが。。
証言台で学校のいじめに対する取り組み方に疑問を投げかけるアンディ。
しかし学校側の弁護士は、アンディが浮気をしていた時の現場をハンナに先に見られていた新事実を引き出し、逆に彼のその過失を追求されてしまう。
ブライスの親が寄贈した野球グラウンドの式典会場では、ジャッキーが彼の親達に詰め寄る。
マスコミが大挙して押しかけている会場に不安を覚えるザックは、母親の制止を振り切り、妹のメイと共にその場を去る。
タイラー達から送られた自分の乱交動画の流出に恐怖を感じていたマーカスもとうとう、ブライスを裏切り、公の場で彼を非難し始める。
憂さを晴らしたタイラーは、サイラスと銃で遊んでいる最中に思わずカラスを撃ってしまい、益々倒錯していく。。
9人目の証言者は、原告のオリヴィア。
彼女は自分たち親の無力さと大切な子供を預けた学校の責任を切々と訴えるが、学校側の弁護士の論点は父の浮気を知っていたハンナの心情へと移行。
それを知らなかったとはいえ放置していたオリヴィアの呵責を指摘され万事休す。。
久しぶりにスカイからの電話を受けたクレイは、彼女がいる更生施設でようやく面会を果たすが、スカイは心機一転引っ越しをする事を決め、クレイに別れを切り出す・・・
・・ハンナのテープの流出により、一気にストーリーが動き出しました。
傍若無人に振舞っていたブライスにもとうとう陰りが見え、仲間や彼女、マーカス達にも動揺が隠し切れません。
それでもブライスの母親は息子をかなり冷静に見ていましたが、彼の不遜さは父親譲りなのでしょうか?
裁判は案の定、オリヴィアたちに不利な状況になってきましたが、この水掛け論的な双方の対立には、肝心なハンナの思いをどこか置き去りにしているような気がして、本当に胸が痛くなります。。。
裁判所でオリヴィアに告解をするアンディ。
しかしハンナの死に自分たちにも過失があった事を認められないオリヴィアは、夫からの意見にも耳を貸せず、ふたりの距離は更に離れていく。。
不安から再びヘロインに手を出してしまうジャスティン。
そこに偶然クレイの不在中にやってきたアレックスが、ドラッグの影響で死にかけている彼を救う。
ジェシカを思う者同士、絆を深めあっていく二人。。
ハンナの家にやってきたジェシカはオリヴィアに寄り添う。
浮気相手と過ごすアンディに未だ残るオリヴィアの未練にエンパシーを感じたジェシカは、ようやく自分の胸に秘めた不安を彼女に吐き出していく。
薬物による中毒症状がクレイの親にバレてしまったジャスティンは、彼の家からひっそりと抜け出し、母親が待つ実家へと戻っていく。。。
・・シーズン2も後半を迎え、少しずつ物語の核心に迫っていきます。
不安な思いを一人で一生懸命抱え込み続けていたジェシカが、ハンナの勇気を称える台詞に対し、
「痛みに向き合う人こそが、本当に勇敢なの」
というオリヴィアの台詞が胸に刺さります。
ラストで幻覚のハンナを酷く攻めるクレイの描写が、このシーズン2で製作陣が伝えたかった大事なポイント。
幻覚なのにもう今にも泣き出しそう表情のハンナを見るのは正直かなり辛いですが、この自殺志願者に躊躇せず正面から向き合う事こそが、本来学校や社会、特に仲間や友達達が請け負うはずの大切な義務のような気がします。
シーズン2第9話の感想はコチラ
『13の理由』はNetflixで観賞できます。