マリブのブログ

ミネルヴァの梟は迫り来る黄昏に飛び立つ

Netflixドラマ『13の理由』シーズン2第9話の私的な感想―ポーターの過ち―(ネタバレあり)

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13 Reasons Why Season2 Episode9/2018~(アメリカ)
製作総指揮:セレーナ・ゴメス
出演:キャサリン・ラングフォード、ディラン・ミネット、ジャスティン・プレンティス、アリーシャ・ボー、デレク・ルーク、ケイト・ウォルシュ

 すれ違う男女の現実

・・クレイとスカイが完全に別れてしまいました。

学校内のポジション的に、自分の高校時代に一番近かった気がして親近感が湧いていた彼女ですが、ノーメイクだと案外可愛らしくなかったですが?

彼女を支配している躁鬱の原因を、クレイがしっかり掘り下げていくストーリーも見てみたかったです。

 

そして私的に一番胸を抉られてしまったのはハンナの父・アンディの台詞、

「君に必要とされ、愛されている実感が欲しいとは言えない状態だった」

母親やビジネスパートナーの前に、まず妻でいて欲しかった彼の最後の願い。。 

 

・・男の甘えでしょうか・・・?

 

これさえあったなら、忙殺される日々の中でもアンディはオリヴィアに寄り添っていられた気がしてしまいます。

この辺の関係性をジェシカとジャスティンに置き換え表現する描写は絶妙。

 

このドラマで描かれている女性たちは、スカイ、ジェシカ、オリヴィアと誰をとっても、根本的にはタフです。

そんな彼女達の心の支えになりたいと願う男たちの淡い願望。。

現実社会の男女関係ともうまくリンクさせ、夢を見続ける男と現実を歩く女たちの恋愛模様を描くドラマとしても、中々興味深いストーリーになってきました。

 
 シーズン2第8話の感想はコチラ
 

以下『13の理由』シーズン2第9話のネタバレを含んだ上での感想です。

まだご覧になってない方はご注意下さい。



 



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 破られたページ

法廷での証言の準備をしているポーター達教師陣。
彼らは弁護士の指示通り、ガイドラインに沿って弁論する様申し合わせるが、ポーターだけは未だ蟠りを感じている。。

ポーターの回想。。
カウンセリングルームで自殺願望を匂わせてはいるが、それを明確には口に出せないでいるハンナ。
ガイドライン通りの味気ないカウンセリングで彼女の真意を探る事に躊躇してしまったポーターは、悔恨の念から想像の世界でハンナに本音を述懐させる。

スカイに別れを切り出されたショックと、流出させたハンナのテープの予想外の反響に怯え、父親に自分の弱さをぶつけるクレイ。
ブライスの家庭では戸惑いを隠し切れないクロエが、招待された朝食会を欠席。
トニーも募る不安をようやくケイレブに吐き出していく。。

タイラーはマッケンジーとの初デートで予想外に盛り上がってしまい、思わず射精。
恥ずかしさから、彼女を映画館に残したまま逃げ出してしまうタイラー。

10番目に法廷に立ったリバティ高校の教師・ブラッドリーは、デニスからの追求に弁明。
彼女はガイドライン上の限界までハンナたちの心のケアに努めたと主張する。

リバティ高校の校長はテープを流出させたクレイに釘を指すが、彼はハンナの死に緘口令を敷いた学校に反論。
罰として履修授業を増やされるクレイは、満たされないハンナへの思いを更に募らせていく。。

 

 ・・正論として事なかれ主義を貫く大人の狡猾さに辟易します。

どこかパワハラのようにも感じてしまう教師たちの博愛主義的な生徒に対する愛情が何ともむず痒く、まるで他人に無関心な現代社会の縮図の様。

多感なティーンエイジャーの心に正面から寄り添う姿勢は大人たちには微塵も感じられず、同年代として言い知れぬ寂しさが込み上げてきます。

 

11番目に証言台に立つポーターも、ブラッドリーと同じく職務の怠慢は無かったと主張。
しかしハンナが自殺当日ポーターのオフィスに来た記録を隠蔽しようとした事をデニスに追求され、彼は大人達の中で唯一ブライスによるレイプ被害があった事実を認める。

ハンナのテープによって流出した自分の失言をクロエに弁解するブライス。
彼は父親の言い付け通り、自分の弱さと海外旅行をクロエにチラつかせ、なんとか和解に成功。

実家に戻ったジャスティンは、母親にその彼氏から逃げ一緒に新しく生活を始めるよう懇願するが、彼女は拒絶。
母親を見限った彼は家にあった母親の彼氏の金をくすめ、再び家を飛び出す。。

問題児生徒を集めた授業に出席するクレイは、ブライスの暴挙に抵抗した勇気をサイラスから褒め称えられる。。

 

幻想の中で、ハンナの自殺当日、カウンセリングルームを出ようとするハンナを引き留め、彼女に真摯に向き合っているポーター。

自分の保身をやがて彼は認め、オリヴィアに涙ながらに謝罪しはじめる。。。

 

 ・・シーズン2で初めて泣いてしまいました。

ポーターにはこれまでそんなに感情移入出来ていなかったんですが、証言台でハンナに対する罪悪感を抑えきれずに涙する彼の様子にその誠実さが見受けられます。

規則やカウンセリングのプロトコルだけでは対処しきれない、血の通った対話が思春期の子供達には必要な気がしてきます。

そして、そんな彼に寄り添うポーターの妻の対応にも感動しました。

職を失くすことを覚悟で吐露してしまった彼をしっかり受け止め、それを支えようとする彼女の懐の深さ。。

・・自分の過去ともリンクし、ちょっとポーターを羨ましく感じてしまいます。。
 

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更衣室で正体を隠した何者かに不意打ちのリンチを受けるクレイ。。

裁判でのポーターの証言を受け、ザックはクロエの身を案じるが彼女は気丈に振舞う。
社会復帰の為、オリヴィアの店でアルバイトを始めようとするアレックス。
ジェシカはニナのススメで他校の生徒と交流を持つようになるが、父親はそんなジェシカの様子に過敏に反応してしまう。

トニーも何者かに車を壊され怒りを抑えきれなくなってしまうが、ケイレブは彼を見捨てない。。

クレイはサイラスたちに連れられ、腹いせに学校の球場に落書きをしている最中、運動部の生徒たちが女子をクラブハウスに連れて行くところを目撃。
街を出ようとする寸前のジャスティンに、メールで協力を求める。

街でサラを見かけたオリヴィアは、彼女たちが泊っているモーテルまで足を運び、ハンナの裁判に出廷しないよう哀願する。。

親に止められたシューティングゲームをしながら、アレックスは失った記憶を少しずつ取り戻していく。。。

 

 ・・タイラー達の悪戯が徐々にエスカレートしていきます。

その過程でポラロイド写真にあった場所を突き止めるクレイの描写は、ちょっと都合が良すぎませんかね・・?

突然登場してきたサラとアレックスの回想描写にも、サスペンス色を強調する小手先感が感じられ、逆に冷めます。

サラはどうもハンナの裁判に不利になる出廷者の様ですが、ポーターの証言以外、基本的にオリヴィア側の状況は十分追い詰められているので、これ以上煽る必要はない気がするんですが。。

判決がどうであれ、学校側の証言者だったポーターの告解により、ある程度ですが、ハンナの思いは報われているのではないでしょうか?

父親の意思を歪曲して捉えているブライスだけが、どこかで自分の過ちに気付いていく事だけを強く望みます。

シーズン2第10話の感想はコチラ

 

『13の理由』Netflixで観賞できます。 

www.netflix.com

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