マリブのブログ

ミネルヴァの梟は迫り来る黄昏に飛び立つ

『ウォーキングデッド』シーズン9第16話の私的な感想―無線機越しの女の声―(ネタバレあり)

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The Walking Dead Season9 Episode16/2019~(アメリカ)
脚本:アンジェラ・カン、マシュー・ネグレテ
出演:ノーマン・リーダス、メリッサ・マクブライド、ダナイ・グリラ、キャサディ・マクリンシー、サマンサ・モートン他

 最終話と共に。。

予定を大幅にズレこんで撮影が強行されていた現場がもーすぐ終わる・・w

 

“令和”なんて、ちょっとシックな銀座のホステスみたいな元号に間もなく変わる様で、なんだか変なキモチな今日この頃ですが、皆さんはいかがお過ごしですか?

 

思えば平成は自分にとってあっという間でした。

昭和から改元された時は天皇の崩御のせいもあってか、随分厳かな雰囲気でしたよね?

アラフォー世代以上の方じゃないと伝わらないでしょうか?あの空気感・・

テレビをつけると全チャンネルで改元特番が組まれ、小学生当時の自分はつまんなくてゲーム好きな同級生の家にたまって遊び惚けてました。。

 

・・でも、振り返ってみるとあの時がテレビに初めて違和感を覚えた時かも・・・

 

自分の見たい映画やドラマがスマホ一つで誰でも手軽に見れるようになった現代では、視聴制限を設けた上で、もっとエッジを利かせた連ドラがあってもいいと思うんですよね。。

有り体のヒーロー像や処世術、或いはパターン化された謎解きばっかり見せつけてくる民放のテレビドラマって、なんだかそろそろ嘘臭く感じてきませんか?

 

もっとこう、なんていうか、善とか悪とかの単純な判断じゃなくて、起こった出来事のなんで?をしっかり追求する作風というか・・・

 

ましてや、無料で流れる日本のテレビドラマと違って、利用者が熱中してるからこそ料金を支払っている『TWD』シリーズのようなVOD系の海外ドラマでは、あまり視聴者にイチイチ迎合せずに人間や物語を深掘りしてみてもいいんじゃないかな・・・

ハッ・・

気づいたらまた延々と愚痴を漏らしてしまいそうなので、さっさと最終話のあらすじを書きます^^;


シーズン9第15話の感想はコチラ

以下、『ウォーキングデッド』シーズン9第16話のネタバレを含んだ上での感想です。

まだご覧になってない方はご注意下さい。

 

 

 

 

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無線機越しにキングダムでの日々を語るエゼキエル。
彼らは吹雪の中、必死に生活を続けていた事を述べる。
ヘンリーの思い出の詰まった宝箱を閉じるキャロル。
タラの署名のある憲章を指でなぞり、感慨深く過去を思い返すエゼキエル。
ダリル、ミショーン等に連れられ、彼は遂に王国を捨て、ヒルトップへ移住する決意を固める。。

ヒルトップへと向かう道中、イーニッドを殺された失意のアルデンから、辛辣な言葉を浴びせられるリディア。
ダリルはそんな彼女を庇い黙々と道を進もうとするが、キャロルでさえ、彼女の影にヘンリーの事を思い出してしまう。
ダリルはそんなキャロルに問う。

「俺の影には誰が見えるか?」と・・・。

 

吹雪の猛威はアレキサンドリアをも襲い、それぞれの家庭のヒーターはソーラーパネルからの電力を利用できない。
彼らは暖炉のある3っつの家に、それぞれ寄り添って生活をする事を決めるが・・

 

キャロルとの関係が冷え切っていたエゼキエルは、その怒りの矛先をダリルに向けてしまう。
それでも、自分の夢見がちな性格の脆さを感じながら・・

森の中で雪に埋まったウォーカーを見つけたリディアは、その言い様のない侘しさから、自分の腕をその口元に差し出そうとする。
しかし、彼女がウォーカーに噛まれそうになる寸前のトコロで、その背後に忍び寄るキャロル。
彼女は何も言わず、そんなリディアの様子を見守っているが・・・

粉雪の舞うヒルトップへの道中、ニーガンのアジトだったサンクチュアリで一晩を明かす一行。
疲弊したキャロルに寄り添うダリルは、彼らをヒルトップへと送り届けた後に、自分はリディアを連れ彼らのもとを去る決意を語るが・・

 

暖を取って集まっているアレキサンドリアのメンバー。
牢獄に監禁されていたニーガンも、ゲイブリエルの人道的な意見から、その仲間に加えられている。
しかし何時になくはしゃいでしまうニーガンは、ゲイブリエルに嫌味を語り、ユージーンまでもが思わず失笑。
そこで大雪により、煙突が塞がれていた暖炉から爆発が起こり、彼らは別の家へと向かおうとすると、悪態をついていたニーガンにはロジータが仕返しを。
鎖に繋がれたままの彼を置いて出ていこうとする彼らに、ニーガンは思わず慌ててしまう。

 

サンクチュアリで一夜を過ごすメンバー達は、大雪が降りしきる中でのヒルトップまでの移動経路を皆で相談。
食料不足の為、馬車を捨て川を渡ろうとするキャロルの提案に、エゼキエルはウィスパラーズとの協定を破ってしまう事に対する不安を拭う事が出来ないでいる。。

やがてミショーンの提案で闇夜に紛れて川を渡る事を決意した彼らは、リックが守り抜こうとした橋のたもとへ。
ダリルが先頭に立ち、凍った川の様子を調べていると、雪に覆われた中からフローズンウォーカーが飛び出してくる。
一行はなんとかそれらを撃退するも、不安にかられたリディアは彼らの下から立ち去ってゆき・・

 

ロープ伝いに吹雪の中を移動しているアレキサンドリアの面々。
しかしドッグの鳴き声を聴いたジュディスは、ダリルから預かったその責任感から、列を離れ姿を消してしまう。
その様子を見ていたニーガンもまた、彼女の後を追って雪の中に消えてゆき・・・

 

凍ったまま呻き声を上げるウォーカーに怯え、その首を叩き落とすミショーン。
ダリルはフローズンウォーカーに足元をすくわれるが、氷柱をその脳天に打ち込みその窮地を何とか凌ぐ。

納屋に逃げ込んでいたリディアを見つけるのは、キャロル。
彼女はリディアの腕を捕まえ、グループに戻そうするが・・
その自責の念から自殺願望を持つようになっていたリディアは、キャロルに自分の殺害を懇願。
アルファによる洗脳を受けていた彼女は弱い自分を認め、キャロルの持つ槍を自分の胸元に押し当てると、やがて自分の過去を振り返ったキャロルの目にも涙が滲んでゆく。。
彼女はそんなリディアの背後に迫るウォーカーを槍で仕留め、リディアにようやくその手を差し伸べる。。。

 

吹雪の中ドッグを見つけていたジュディスは、その意識が徐々に薄れていく。
やがてやってきたニーガンは、そんな彼女に自分の上着を着せる。
ジュディスに生きる希望を見つけていたニーガンは、足に傷を負いながらも、彼女を抱きかかえ救出する事に成功する。

 

なんとかヒルトップへと辿り着いたエゼキエル達は、ヒルトップでの王国の再建を決意。
リディアに翌朝アレキサンドリアへと向かう事を告げるダリル。
そしてキャロルもエゼキエルとの別離を決意し、その結婚指輪を彼に返そうとするが・・
彼は優しくその指輪をキャロルに託し、離れても変わることのない自分の愛情を告げる。

 

アレキサンドリアへと戻って来た古株メンバー。
ミショーンはジュディスを抱き寄せ、必死に駆け寄ろうとするRJも抱き上げる。
やがて、誰からともなく雪合戦を始める一同。
そのそれぞれの顔には、束の間の無邪気な笑みが零れている。

セディクの治療を受けているニーガンに礼を伝えにくるミショーン。
その彼の瞳に純粋な愛情を感じ取ったミショーンは、ウィスパラーズの恐ろしさを漏らすが、ニーガンは自分の過去を引き合いに「誰も自分が悪だとは思ってない」事を彼女に吐露し始める。。

 

猛威を振るう吹雪を、小グループに分かれてやり過ごしていたアルファとベータ。
アルファはリディアを失った時の自分の弱さを見据え、ベータに折檻を要求。
彼は無言のままアルファの腕に樺の小枝を振り下ろす。
その苦痛に耐えながらも、恍惚としたアルファの表情。

 

長い冬を超えたヒルトップのエゼキエルは、無線機でアレキサンドリアと連絡を取り合う。
そのマイクの前に座るジュディスに王国の決意を伝えると、彼女は嬉しそうに部屋を出ていく。
そしてエゼキエルも微笑みを浮かべながらその場所を立ち去ると、無線機からは聞き覚えのない女の声が聴こえてきて・・・

 

 

 

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 ・・ショーランナーを務めるアンジェラが脚本を書いたエピソードはやっぱり複雑w

それでも随所に政治意識の強いメッセージを織り交ぜた結構興味深いエピソードでした。

 

TWD』史上初の試みの冬場の設定は、ウォーカーも凍り付くという新しいゾンビルールを付け加えたチャレンジ精神満載で、吹雪の中に佇む人影自体にもじんわりと恐怖を滲ませてきます。

それでも吹雪を舞わせる美術装置やそれに合成するCGのクオリティーの粗さ、更にスタジオ感丸出しのアングルでの雪景色の様子には、ドラマの予算がかなり逼迫している様子が見えてきてしまい、ストーリー構成は面白いのになんだかちょっと複雑な心境。。

・・きっとこれ『デイ・アフター・トゥモロー』のように北米を飲み込んだ最強寒波をやってみたかったんだろうな・・・

 

性懲りもなく、ラストに謎の無線機越しの女の声でサスペンス色を強引に盛り込んできましたが、どうせこの手のクリフハンガーはあっさり種明かしはしてこないでしょうし、期待するだけきっと野暮でしょうw

・・せめて映画版の宣伝のようなヘリコプターの団体ではない事を強く望みますが・・

 

この類の演出のおかげで毎度視聴者の視点がブレがちですが、今回のシーズンの最終話で描いてきた本当のテーマは、一言で言えばまさに悪人の定義


「お互いを知らなかったから、敵はキングダムに潜り込めた」

と語るミショーンとエゼキエルの会話からも、

「誰も自分が悪だとは思ってない」

なんてニーガンが絶妙な本質をついてくる様子にも、まるで一大勢力を誇った中東の亡国の真意をついている様な印象。

プロパガンダ意識の強いアンジェラならではの、かなりウィットに富んだ台詞でしたが、そんなニーガンにミショーンが告げる、

「共通の悪が善人を団結させた」

というその自らの正義を信じて疑わない者の立場からの大義名分は、中々に難しい問題定義を内包させて視聴者に伝えてきている様な気がしています。

 

更に彼女の脚本は、少ない台詞でそれぞれの微妙な空気感を伝えるのが、本当に見事。

自殺願望を持ち始めるリディアの様子は、ちょっとフィアーのチャーリーに酷似しちゃってる気もしてきますが、アルファから受けたDVからの解脱を試みる為には、これもしょうがない展開でしょう。

ましてや同じ様に弱い女から始まったキャロルが、『TWD』の世界で積み重ねた歴史を経て逞しく成長してきたんですから、今後のこの二人の結びつきもより深く描いていけそう♪

バタリアン』へのオマージュの様なオバンバウォーカーの登場なんかも、そのゾンビ愛をたっぷり感じられますし、ジュディスに纏わりつく子供っぽいニーガンやシリアスで臆病なエゼキエル等、これまでの表面的なキャラクターのイメージを深く掘り下げてくるテクニックは、やっぱりさすがのアンジェラ。

 

それでも予算を圧迫し続けるキャスト費を更に削る為にも、マーベル映画への出演に忙しいミショーンにはリックを追っかけてさっさと卒業してもらって、これ以上メンドクサイキャストを増やさずに、ニーガン目線でのアポカリプス世界をもっと見せてくれないかな。。

 

・・結局のトコロ、、

リックの面影に縋り付く演出ばかりでは、低迷しまくったこのドラマの視聴率を回復させる事はきっと出来ないでしょう。。

 

自分も含めた長年の『TWD』ファンは、ここはあえて彼への未練をそろそろ一度断ち切ってみた方がいいのかも。。

 

アンドリュー・リンカーンへの愛着は自分にも未だにしっかり残ってますが、映画版を盛り上げる為の二番煎じの様なストーリー展開にならない為にも、最終的にはリック臭を漂わすキャストとの完全決別しか、このドラマをもう一度盛り返す事はできないような気がしてきました。

シーズン10第1話の感想記事はコチラ

www.mariblog.jp

 

 

『ウォーキング・デッド』シーズン9は、
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