The Walking Dead Season9 Episode4/2018~(アメリカ)
脚本:ジェラルディン・イノア
出演:アンドリュー・リンカーン、ノーマン・リーダス、ローレン・コーハン、メリッサ・マクブライド、ダナイ・グリラ、ジェフリー・ディーン・モーガン他
宗教観に準えたアポカリプスの人々
呆気なく処刑されてしまったアラット。。
前回のエピソードを見返して見ると、彼女は冒頭で元救世主たちが暴動を起こしかけた際に、真っ先に彼らを止めに入っています。
「取り返しのつかない事になる・・」
という彼女の台詞は、正に彼女自身の最期を予期していたフラグだったんですね。。。
結局復讐の連鎖が人の世では終わりを迎える事がない現実をまざまざと見せつけられてしまった前回のエピソードを顧みると、新しいショーランナーのアンジェラがひっそりと忍ばせてきたテーマは、或いはタブー視されている宗教観なんでしょうか?
改宗者を愛し、現世での救いを重視するユダヤ教の教えは、カールの性善説を頑なに守ろうとするリックの哲学にそっくり。
そう考えるとテンガロンハットに髭モジャの彼のいでたちは、ユダヤの超正統派の正装にさえ見えてきちゃいますw(・・まあ、こじつけですが・・)
そこから派生してきたマギーの思想は、倫理上の罪を厳罰化した上で選民思想が根強い初期のキリスト教徒の顛末を辿っているのでしょうか?
だとすると全ての罪を受け処刑されたグレゴリーは、ひょっとしてキリスト本人?(これも、かなりのこじつけですが・・・w)
どちらにせよ、彼らに根城のエルサレムを追われ、流浪の民さながらに反乱を企てていきそうなサンクチュアリ人たちは、やっぱり暴徒化していく一部の過激派イスラム教徒に準えている気がしてきてしまいます・・・。
リックが夢想的な理想論の為にニーガンを殺さなかったばっかりに・・
なんて溜息が今更ながら漏れてきそうですが、やっぱりカールの死が脚本上に描かれていたあの日に降板する決意を決めたのであろうアンドリューの心境を考えれば、彼を生かす選択肢以外にこのドラマに僅かな希望を残す事がきっと出来なかったのでしょう。
なんだかドラマのストーリー展開よりも、キャストの裏事情やスタッフの思いにばかりアタマがいってしまう奇妙なシーズンですが、次回の第5話での降板が決定しているリックの最後の雄姿を、そろそろ覚悟して目にしっかりと焼きつけていきたいと思います。
シーズン9第3話の感想はコチラ
以下、『ウォーキングデッド』シーズン9第4話のネタバレを含んだ上での感想です。
まだご覧になってない方はご注意下さい。
各々の義務
ベッドから起き上がるミショーン。
彼女はリックに優しくキスをすると、アレキサンドリアでの普段の生活を始める。
その幸せな現実に未だ一抹の不安を隠し切れないミショーンは、夜毎愛刀を片手にウォーカーを斬りに出かける。
首を吊られたウォーカーを見上げているミショーン。
不意に背後から別のウォーカーに襲われ思わず刀を落としてしまった彼女は、その場に打ち捨てられていたバッドを手にそれを撃退。
彼女が持っていたのは、ニーガンの相棒だったルシールだ。
普段と変わらないヒルトップの日常。
マギーは思い詰めた様にこっそり荷物にバールを忍ばせ、いよいよアレキサンドリアへと向かう決心を固めている。
その彼女の背中に助言を添えるのはジーザス。
彼はジョージーからの手紙をマギーに手渡し、リックがニーガンを生かす権利がなかった事を告げる。
そしてマギーがリックと同じような間違いを犯さないようにとも・・
橋の建設キャンプでは、再建計画をリックに説いているユージーンの姿が。
しかし労働者不足とシェイクスピアの戯曲に準えたウォーカーの群れが迫ってきている為、それが難しい事を彼はリックに告げる。
その自分の不甲斐なさを零すユージーンを優しく労うリック。
アルデンを派遣し、サンクチュアリのリーダーの座を降りた事をリックに伝えるキャロル。。
やがてリックは彼らの動向に一抹の不安を覚え始める。
更にマギーが単独でアレキサンドリアに向かった事をジェリーから知らされたリックは、悪い予感を覚えそれを無線で街の警備にシーバーで促す。
動揺を隠し切れないリックに、ダリルはバイクでアレキサンドリア迄自分が送る事を提案するが・・
ノラからニーガンが食料に手をつけないでいる事を知ったミショーンはニーガンの元へ。
食欲が出ないと事を告げるニーガンは、何時になくしおらしくミショーンに話し相手を求める。
アレキサンドリアへと続く道を通り過ぎた事から、ダリルの目論見に気付くリック。
彼はバイクから飛び降りるとダリルのその真意を探ろうとするが、彼の信念は揺るがず二人はもみ合いながら路肩の穴へと落ちてゆく。
ニーガンを生かしたことに意味があると説くリックに対し、ダリルはそれと同時にマギーにも彼を殺す権利があると言い返す。
リックにグレンとの思い出を語り出すダリル。
リックは彼によって生かされ、妻と子供にもめぐり逢い、そしてここまで生き残ってきたんじゃないかと・・
それでもリックは、ダリルがドワイドを生かす決断をした事を例に挙げ、復讐の世に終止符を打ちたい願望を彼に明かす。
そしてそれが、カールの死を無駄にしない唯一の方法なのだと・・
しかしオーシャンサイドの人間たちがアラット達を暗殺していた事実をダリルに告げられると、目を赤らませ嘆き悲しみだすリック。
そしてカールの死に捕らわれ続けているリックを諭し始めるダリル・・・
対峙しているミショーンに対し、自分の世界観を語り出す暗闇の中のニーガン。
彼は、殺戮なしに新しい世界を築こうとしていると告げるミショーンに対し、自分の妻との思い出を話し始める。
子供も持てず病弱のまま死んでいった妻を、愛用のバッド・ルシールへと転化させて勇気づけられた事を彼女に伝えると、ミショーンは自分の亡くした子供の存在と、カールへの深い愛情を語りだす。
二人の思考は結局相容れないが、それでも弱い存在の人間が生き残れなかった世の儚さにどこか共感を覚えてしまった彼女は、思わず耐え切れなくなりその場を立ち去る。
ゴミ山では貴婦人ウォーカーにゲイブリエルを襲わせようとしているアンの姿。
彼女は彼を手土産にどこか遠い世界へ行こうとするが、ゲイブリエルはそんな彼女に逆に贖罪を始め、更に神の慈悲深さを必死に説こうとする。
やがてその愛情に戸惑いを感じ始めたアンは、彼を襲わせていたウォーカーを止め、再びゲイブリエルを薬で眠らす。
元救世主たちの略奪に備え、キャンプではキャロルが武器の輸送をジェリーやオーシャンサイドの面々に促している。
そこへ案の定、戻ってきてしまうジェッド。
彼はキャロルにアルデンから奪った銃を突きつけ武器を手渡す様告げるが、彼女はそんなジェッドの一瞬の隙を見て反撃。
やがてどこからともなく銃声が鳴り響く・・
その音を穴の中で聞きつけるリックとダリル。
二人はようやく協力し穴から這い上がろうとする。
ニーガンの言葉が胸に焼き付いてしまったミショーンは、再びニーガンの待つ牢獄へ。
自分と同じ愛する者を失う恐ろしさをミショーンに感じ取っていた彼は、彼女が夜毎ウォーカーにその不安をぶつけている様子を察し、尚もルシールへの愛情を説こうとする。
しかしミショーンはそれに屈しず、ニーガンのバッドを捨ててきた事を彼に告げその場を立ち去ると、彼は発狂寸前に壁に激しく頭を打ち付ける。。。
銃声に引き寄せられたウォーカーが集まってくる中、リックは木の根を伝い穴の外へと。
ダリルは滑り落ちてくるウォーカーを足場にその後を追う。
やがて二人は命からがら穴から抜け出るが、リックはウォーカーの群れを見るなり、馬でそれを橋から遠ざける為に誘導する事を決断。
ダリルはそんな彼に一抹の不安を覚えながらも、二人は別々の道を行く。。
ゴミ山のコンテナの中で目を覚ますゲイブリエル。
アンは彼のポケットに手紙を残し忽然と消えている。
『速く行くなら独りで。遠くへ行くなら一緒に。・・私は速く行く』
と記された手紙を抱きしめ、膝から崩れ落ちるゲイブリエル。
ジュディスに絵本を読み聞かせているミショーンは、相変わらずニーガンの言葉がアタマから離れない。
馬上からウォーカーの群れを誘導していたリックは、道中で別のウォーカーの大群に遭遇。
それに怯えた馬からあっさり落馬してしまうリックは、その拍子に壊れたブロックから剥き出しのままの鉄柱にわき腹を貫かれる。
やがて意識を失いかけているリックに、道の両側から無数のウォーカーがゆっくりと近づいてゆく・・
・・リックとダリル、ミショーンとニーガン、・・ついでにアンとゲイブリエル。。
それぞれの心情を巧みに捉えたクロスカッティングがてんこ盛りで否応なく緊張感が煽られてきましたが、久しぶりの痴話喧嘩を見せてくれたリックたちより、妙にニーガンの発言の方が説得力が強かった気がしています。
お互いの愛する者の死が己を強くしたと語るニーガンの台詞は、どう考えても正論。。
更にその侘しさをバッドに投影し偏愛していく彼の精神状態は、正に即物主義的な現代人の価値観そのまんまなんじゃないでしょうか?
そしてちょっと意外だったのがジーザスの発言。
私的には、ジーザスなのにすっかり使徒パウロ状態の彼がマギーに言い放った台詞、
「リックにはニーガンを生かす権利がなかった。・・だからマギーにも同じ過ちをしてほしくない。」
というのは、復讐を誓った者への最高のキラーワードに聴こえてきます。
つまり、人間には誰も生かす権利も殺す権利もないという究極のヒューマニズム。。
もちろん理性的にはあり得ない決断を迫られたマギーは、ニーガンときっちり対峙してお互いが納得いくまでそれを追求すべきでしょうが。
少なくともカール教に縛られ、他人に抑制され続けるよりはよっぽどマシかと。。
・・そしていよいよリックの最期もしっかりと描かれ始めてきましたね。
結論から言うともう、リックは絶対に死にません!(いや、願望もかなり込めて・・・)
・・というより、彼はもう死ねないでしょうw
それは1話からひっぱってきた橋の建設が、そのままこのドラマの希望のかけ橋へと繋がってきたので・・・
前回のショーランナーのギンブルあたりだと、きっとこの橋を守った美談を受けて、リックをそのままあっさりと死亡させているでしょうが、そこで希望をかけたいのが、社会派アンジェラの懐の深さとこれまで視聴率に踊らされまくったギンブルが安易に試みてきたメインキャラの死亡フラグに対する反骨精神。
彼女の中にあるのは、死にゆく者の美学ではなく、生きていく者の美学と功罪。
それを誰よりも一番背負っているリックを、チープな英雄譚で終わらせるでしょうか?
更にそこに、カール、グレン、エイブラハム等のこれまで死んでいった者達との思い出を上手く絡ませてきたその実績と、ハーシェル、サシャ、そしてあのシェーンの再登場まで決定しているとあれば、彼らの魂に励まされ、その生存率はもう揺るぎないものになってきたと勝手に確信しています!(・・いや、もう完全に願望ですが・・・w)
・・何よりも視聴者が、誰も彼の死を望んでいないのでw
しかし、彼が仲間の元に戻ってくる事はもうないでしょう。。
それは5話の予告にもある通り、シーズン1のティザー映像に対するオマージュそのまま、大量のウォーカーを引き連れどこかへ去ってゆくラストシーンにしっかり描かれています。
これは夢オチ?それとも死の直前の走馬灯?
いやいや、リックは必ず生き続けます。
”みんなの心に・・”なんて安っぽい謳い文句じゃなく、9年間もこの混沌とした世界の中で抗い続けてきたリックそのものが、もはやWalkig Dead(彷徨う屍)なので!!
ここにユートピアを作り上げていそうなコモンウェルスや、共産主義を匂わす新たなヘリの集団が政治的なイデオロギーを背景に、あまり深く関わってこないでほしいけれど・・
・・やっぱりリックの向かったアトランタの先では、ギレルモたちが彼をこっそり助けてあげてほしいな・・・
【速報】ウォーキングデッドの映画化が遂に決定!!リックのこれまでの名エピソード10選
『ウォーキング・デッド』シーズン9は、
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