マリブのブログ

ミネルヴァの梟は迫り来る黄昏に飛び立つ

海外ドラマ『ウェントワース女子刑務所』シーズン6第10話の私的な感想―リズの困惑―(ネタバレあり)

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Wentwoth Season6-episode.10/2019~(オーストラリア)
製作総指揮:ジョー・ポーター
出演:ケイト・ジェンキンソン、リア・パーセル、スージー・ポーター、ラドウォイ・ヒック、ケイト・
アトキンソン他

 目線が散るウェントワース

ようやく亡霊ファーガソンとの決着が着いたのも束の間。。

看守三人が揃って、何者かにゆすられネタを取られてしまう醜態ぶり。。

 

これ王道で考えればマリーの手のものの仕業なんでしょうが、主軸をウェントワースの外部に持ってこられると何となく納得できません。

 

シーズン6も残り3話と数少なくなってきたので、視点人物はリタやルビーに絞って描いた方ががいいんじゃないかな。。

折角、地球最古の民族と言われているアボリジニの姉妹にしているのに、その民族の歴史や彼らのバックグラウンドの描き方も、なんだかちょっと中途半端。

リズの認知症は、高齢化社会を迎える日本人の女性目線からすれば興味深いのかもしれませんが、さすがにこれ、サスペンスの中で描くのはちょっと無理がありませんか?

記憶がない事にしちゃえば、大抵の事件はエクスキューズできちゃうし。。

 

一般的なお茶の間では疎いからこそ、外国の民族問題とかを少しは掘り下げてみて欲しいんだけどな・・

 

因みに彼らは、貧困と差別による歴史から、アルコール依存症や家庭内暴力を抱える者が多くみられ、2007年にはアボリジニだけを対象とした飲酒規制法案も可決され、偏見による負の連鎖が再び繰り返されています。

synodos.jp

 
・・アメリカや中国の次に、日本人移住者の多いオーストラリアの現実を、ドラマを通じてちょっと覗いてみたくはありませんか・・・?

 

シーズン6第9話の感想はコチラ


以下、
『ウェントワース女子刑務所』シーズン6第10話のネタバレを含んだ上での感想です。

まだご覧になってない方はご注意下さい。

 

 

 

 

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 薄れる記憶

エレベーター内で鉢合わせるヴェラ、ジャクソン、ジェイクの3人。
ヴェラは昨晩の事が忘れられないながらも、互いに緘口令を敷く。

 

シャワールームでチェリーの暴行事件時の記憶を垣間見るリズ。
彼女は何者かがマリーの名を口にしていた事を思い出しはじめ、マリーから距離を置こうとする。
カズはファイトクラブでの因縁を持つブーマーを疑うが、彼女は全面否定。
リズの動向が気がかりなマリーは、彼女の告白でリズが認知症を患っている事を知る。
リンダから下半身不随となったチェリーの容態を聴かされたリタは、自責の念にかられ・・

リタの面会にやってきたレイは、彼女からの偽りの情報でバイカー同士の抗争に巻き込まれた事を告白。
更に彼女を心底愛する言葉を吐き出すが、リタはそれを受け入れる事ができない。
やがてレイに別れ話をきりだされ涙ぐんでいるリタには、ルビーがそっと寄り添う。。

 

ヴェラの元には脅迫メールが届くようになり、彼女はジャクソンとジェイクにも相談。
ジャクソンはカズに、ジェイクはアリーにそれぞれファーガソンの一件を確認するが、ウェントワース内でその真相を知る者は他に見つからない。。。

 

ブーマーの元へ面会にやってくるのは、ソーニャの担当だった弁護士。
彼はソーニャが生前にブーマーの減刑を相談していた事を明かし、彼女の仮釈放申請の手続きを進める事を約束する。
ソーニャへの気持ちが再び溢れ始めたブーマーは、大粒の涙を零す。

カズへその気持ちを吐き出し、彼女の殺人を痛烈に非難し始めるブーマー。
その様子を見ていたリズは、朧げな記憶の中で、チェリーを襲った犯人がブーマーだった様な気がしてきてしまう。
やがて、その疑念をカズに打ち明けると・・

 

ヴェラの元に届く脅迫メールは、やがてエスカレートし始め金銭を要求。
怯えるジェイクは彼女にその金を支払うよう懇願するが・・

 

カズはブーマーに疑いの目を向け始め、不穏な空気が流れだすウェントワース。
そんな中、アリーの使いで麻薬に手を染めていたテイラーが、急に腹痛を訴え始め医務室へと急行。
検査の結果、彼女の摂取していた麻薬には殺鼠剤が含まれていた事が判明する。。

リンダの情報からブーマーの部屋を捜索すると、チェリーの血痕の残った武器を押収。
必死に抵抗しながらも独房へと送られていく彼女を見つめ、リズはようやく記憶を取り戻す。
マリーの所へとやってきたリズは、彼女を糾弾するもあっさり否定され万事休す。
その様子を見ていたザラは、マリーへの愛情をようやく吐露し・・

暴走を始め、リズを襲おうとしてるザラを必死に制止するマリー。
恐怖から絶望へと塞ぎ込んでいくリズに、マリーは致死量のヘロインを手渡し・・

マリーの部屋を訪れたアリーは、彼女の息子が暴行にあった日の写真の中に、ルビーに面会に来ていた女シェリーの存在を知る。
ルビーはアリーに固く口留めをするも、彼女はその忠告の真意を知らず・・・

 

静寂の中、希望を失い始めたリズが自室で静かに腕にヘロインを打とうとした瞬間、そこへやってくるカズ。。
彼女はリズが下した自殺の決意に言い知れぬもどかしさを感じつつも、その注射器を処分する。
そしてそれがマリーから授かったものだという事を知ったカズが、彼女の元へ抗議にやってくると、そこでザラと密談をしているマリーを発見。
全ての事件の黒幕にマリーの存在がある事を知ったカズは、やがて決心を固め・・・

テイラーから殺鼠剤入りの麻薬のありかを問いただすカズ。
彼女はそれをすべて押収すると、マリーが普段使用している麻薬とすり替える。。

 

焦りを募らすジェイクは、ジャクソンにヴェラを説得するように要求。
しかし正義心の元、醜態をさらすジェイクをジャクソンは一蹴。
彼に頭突きを食らわされ窮地に陥ったジェイクは、ヴェラの家へと直接出向く。
そこで閃いたのは、ファーガソンの脱走時に看守長だったチャニングが、脅迫メールに関与している可能性を打ち明ける。。

 

リタに事の顛末を打ち明けるルビー。
しかしアリーとの恋愛に終止符を打てない彼女が苦悩していると・・
部屋で倒れているマリーを発見したアリーは、彼女の名を必死に呼びかけるが、その反応はなく。。

非常ベルの音が鳴り響くウェントワース。
カズはリズに寄り添いながら、そんなサイレンの音を朧げに聴いている。。。 

 

 

 

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 ・・なんて言うんでしょう・・・?

ウェントワースならではの嫌ーな緊張感が十二分に立ち込めてきましたが、気持ちが分散してしまって・・・

 

率直に言えば・・

リタの存在感が薄すぎ。。。

相変わらずメインのストーリーが、リズやカズ、或いはブーマーの様子に引っ張られていて、リタとマリーの対立の構図が全然見えてきません。。

更に知能犯の様に見えていたマリーが、ザラの暴走も止められず、カズに裏取引を知られ、更にクスリにも溺れいるなんて・・・

 

・・まあ、そんな弱さをすぐに見せてくる彼女が、男目線からすると、ちょっと魅力的にも感じるけど、更にその裏をかく魔性さが、マリーのウリじゃなかったでしたっけ・・・?

 

リズの認知症の進行具合はちょっと急かし過ぎな気もしてきますが、

「逃げ道をくれなかった」

という彼女の台詞には、ちょっと一瞬、たじろいでしまいました。。。

誰もが避けて通れないこの手の問題は、老老介護が進んでいく現代の日本の福祉事情をそのまま突きつけられている様な気がして・・

それでも、カズが自分の過去に負い目を感じている様子を、しっかり理解できているうちには、リズにもどこか親近感が湧いてきます。

そう考えていくと・・

マリーがリズの自殺をほう助しようとした事自体も、例えそれが彼女自身の保身の為であったとしても、リズの立場から見れば、あながち悪とは言い切れないような。。。

 

エゴイストの塊の様に見えていたソーニャが残した僅かな優しさ、それが例え一時的な感情であったとしても、それに寄り添おうとするブーマーの儚さ。。

 

なんだか中年女性の寂しい裏事情が垣間見え過ぎてしまって、サスペンスの本筋がだいぶ霞んで見えてしまった切ないエピソードでした。

・・ついでにチャニングの復活なんて、誰も望んでないような気がするんだけど・・・

 シーズン6第11話の感想はコチラ

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『ウェントワース女子刑務所』
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