マリブのブログ

ミネルヴァの梟は迫り来る黄昏に飛び立つ

映画『時空の旅人』の私的な感想―アラフォーにおすすめの名作アニメ―

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時空の旅人/1986(日本)/91分
監督:真崎 守/原作:眉村 卓
声の出演:村田 博美、戸田 恵子、岩田 光央

 時空を超えるノスタルジーアニメ

春になると漫画原作映画が巷に大量発生します。

『ちはやふる -結び-』『プリンシパル』等、恋や青春真っ盛りな甘酸っぱさいっぱいで、うらぶれた中年が街を歩くのをちょっと躊躇してしまうほど。。

過去の青春映画を見る度に、

「あったよな、あんな時代・・」

なんて懐かしく回顧する事はしょっちゅうですが、漫画原作って今ほど昔はなかったんですよね。。

 

・・アラフォー世代にとっての漫画原作の名作ってなんでしょうか?

自分には、このブログを始めたばかりの頃に紹介した『櫻の園』以外、どうしても思い浮かびません。 

なので、、

 

もう今回は完全に吹っ切って、私的な名作アニメを紹介してみます。

 

『時をかける少女』『魔界転生』等、角川映画が全盛期だった80年代後半、アニメ映画として『火の鳥ー鳳凰編ー』との懐かしい2本立て上映で公開されたこの映画ですが、正直余りヒットはしていません。

それでも事あるたびに何故かふとこのアニメの事を思い出してしまうのは、近年大ブームを起こしている宮崎アニメや新海誠ワールドへと踏襲される、去来する念いを幼少期に初めて感じた作品だったからでしょうか?

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―――主人公のテコは卒業を控えた高校生。
彼女に恋心を寄せるラグビー部のノブオは、友人のシンイチに手伝ってもらいテコにラブレターを送ろうとする。
桜の舞い散る校舎前、彼女の姿を見つけた二人は、テコが乗り込んだ彼女の兄の車に駆け寄るが、未来から突然やってきた少年アギノ・ジロにより、近くにいたホクベン先生もろとも時空を超えた彼の逃走劇に巻き込まれてしまう。

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 信長のあの日を追うするタイムトラベル

同年欧米で公開された同じタイムトラベル映画の元祖『バック・トゥ・ザ・フューチャー』の影響で、日本では殆ど話題にならなかったこのアニメ。

しかし監督は、日本人なら誰しもが知っているあの『はだしのゲン』の真崎守が務めており、メカニックデザインには『魔女の宅急便』の原画を担当した森本晃司。
キャラクターデザイン には『ポーの一族』『11人いる!』で有名な萩尾望都と、後のアニメ映画界をしょって立つ錚々たるメンバーで製作されていて、当時の角川アニメの力の入れ様が伺えます。

そして私的にちょっと息を呑んだのは、劇中随所に見られる原作者眉村卓の創作俳句の数々。

今では大分多くなってきたこの手法ですが、古くから赤尾兜子に心酔していた彼のノスタルジーとSF世界の融合的な要素を持つこの暗喩は、テンポのいい物語の中で一瞬歴史を追憶させられるかのような、絶妙のカットイン。

時代は太平洋戦争末期、幕末、関ヶ原、そして最後にはあの「本能寺の変」と続くタイムトラベルで、男の子のロマンを全て盛り込み済。
戦国時代の美少年と謳われた「森蘭丸」とテコの恋物語には、少女漫画のワンシーンを垣間見るかのような甘酸っぱさに浸れます。

正直追想浪漫盛り込み過ぎ感は否めませんが、このアニメはどんな想い出迷子なヒトでも十分お腹いっぱいになれる事だけは間違いありませんw

そしてそんな切なさのオンパレードな作品に止めを指すのがこの劇中歌。


竹内まりや/Mariya Takeuchi~時空の旅人(TOKI NO TABIBITO)


・・あまりに印象的で、てっきり主題歌だと勘違いしていましたが。。

自分はこの歌がアタマにこびり付いてしまい、あれから四半世紀以上が過ぎた今でも、珠に口ずさんでしまいます。

「信長の死で変われなかった日本の歴史」というテーマも、『戦国自衛隊』等で男の歴史浪漫に十二分に感化されてきた自分にとっては妙に感慨深く、春の日に過ぎ去った日々を思い出しながら見るアニメとしては、正に埋もれた名作と言えるアニメ映画です。

 

『時空の旅人』
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